Sunday, May 08, 2005

『真夜中の弥次さん喜多さん』(映画館)★☆

『真夜中の弥次さん喜多さん』★☆

mayonaka

やっぱり舞台人が作る映画なんだよな。
「恋の門」を観たときの感覚に近い。原作がどんな話なのかは知らないけど、
やはりもう少しオーソドックスな内容の中で、遊びを入れた方がうまくいくんじゃ
ないだろうか。特にクドカンはTVドラマの脚本を見てる限りでは、フレームは
ちゃんとあったほうが、大衆ウケするものをつくれる気がする。
期待も大きかっただけに、★☆とやや辛め。

監督/宮藤官九郎
脚本/宮藤官九郎(69 sixty nine)
原作/しりあがり寿「真夜中の弥次さん喜多さん」
撮影/山中敏康
音楽/ZAZEN BOYS
出演/長瀬智也、中村七之助、小池栄子、阿部サダヲ、柄本佑、生瀬勝久、寺島進、竹内力、森下愛子、岩松了、板尾創路、桑幡壱真、大森南朋、おぎやはぎ、皆川猿時、古田新太、山口智充、清水ゆみ、しりあがり寿、松尾スズキ、楳図かずお、中村勘九郎、毒蝮三太夫、研ナオコ、ARATA、麻生久美子、妻夫木聡、荒川良々
 
 
 
 
 
<以下ネタバレ>
 
 
 
 
 
●クドカンの脚本家としての性質

クドカンという人は2時間ぐらいの長枠で脚本をつくるとどうしても息切れしてしまう。
現在放送中の「タイガー&ドラゴン」も2時間SPではたいしたことなかったが、
連ドラの方はクドカンのストーリー作りの上手さが発揮されている。
やはりクドカンは台詞回しのうまさと、瞬間的なシチュエーションの面白さで
勝負する脚本家なのである。
この映画でも序盤はその能力を存分に発揮して、ギャグ、シチュエーション共に
パンチ力が結構あった。しかし、中盤以降は徐々に息切れしはじめ、台詞回しも
今ひとつになり、終盤ではようやくギャグよりストーリー作りに専念し出すものの、
結局は力技(荒川良々)で落とすという強引な展開になってしまった。

クドカンが長尺の作品で良い脚本に仕上げるには、もっとしっかりとしたフレーム
がないと厳しい。今回の作品でいうなら”お伊勢参り=リアル探し”というテーマを
もっと全編に渡って意識した作りにしないと駄目だったのではないかと思う。

あとはこれは映画に限る話だが、やはり映画のメイン要素は映像であり、
台詞まわしではないということも影響していた。TVや舞台なら台詞、シチュエーション
の勢いだけでも持って行けるんだろうけど、映画ではちと厳しい。

●クドカンの監督しての性質

意外にやるなあというのが正直な感想。思い切りの良い演出が随所に
観られて良かった。麻生久美子がキノコに埋もれているなんてのは反則だ。
あと細かいところにやたらこだわっていて、細かいところを発見するのが
好きな人は何度も観て楽しめる作りになっていたと思う。

●クドカンに期待すること

クドカンはやはり良い脚本家だと思う。ちゃんとテーマとか着地点が
わかっている作品ならば、そこまでのプロセスを面白可笑しく作り上げる能力は高い。
今回もフレームがしっかりしていれば、十分良作になっていたんではないかと。
監督としてもなかなか出来るところをみせてもらったので、次回作に期待してみたい。

うん、まあこれも狙って全体の統一感の無さだとかをやっているんだとすれば、
相当な挑戦作だよな。挑戦的すぎてなかなか一般受けしないけどさ。
僕が彼に期待しているのは、一般ウケする邦画なので、あんまりこういう尖った
作品ばっか撮るような映画人にはなって欲しくないんだけど、そういうのはTVで
やってるから、こういうところでガス抜きしてるのやもしれませぬ。

<追記>
公開にあわせて、合本が出ているってことで原作を読み直した。
合本 真夜中の弥次さん喜多さん

こうして読んでみると、やっぱりシュールの一言で片付けられないもんがある。
しりあがり寿はシュールの中に人間の性質を巧みに表現しているが、
映画版はそこまでは出来てない。シュールはかなり頑張っているが、
そこに深みを付与できなかった。それがとてつもなく高度な技術であることは
重々承知しているが、やはりこの原作を映画化しようと思った以上は、
そこまで要求されてしかるべきであると僕は思う。
初監督作品として選ぶには、難易度高すぎであったことは否めない。

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Saturday, April 16, 2005

『あずみ2 Death or Love』(映画館)★

『あずみ2 Death or Love』★

azumi2_death

二週間の監禁生活を経て、心身共に疲労困憊。
いつも通り風邪ひいてます。なんか風邪ひいてない時の方が
少ない気がするんだけどって言われました。確かにそうです。

そんな体調なんですけど、二週間もノーエンターテインメント
で過ごしてきたので、一目散に映画館を目指しました。
なにを観ようかな~と検索したら、「あずみ2」が関東では今日が
ラストだと運悪く知ってしまい、よせばいいのにいっちゃいました。

結果このブログ初の★1個。
ある程度は覚悟していたんだけど、ここまでやってくれると
感動すら覚えます。
しかも2週間ノーエンターテインメントという禁欲生活後の
初映画だったのにこの有様。ちょっと評価ぬるくなっちゃうかもー
なんて思っていたんですけど、心配ご無用の救いのなさ。
ていうか1面白かったんじゃねえか?と錯覚を覚えるほどひどいですw

今日でほぼ全国で公開終了しているので、今更警告するのも
なんですが「上戸彩が好き!」って人と、出来の悪い映画に
愛を感じてしまう人以外はマジで見ない方がいいと思います。
こんな映画を1ヶ月も全国公開できてしまうなんて、
日本はなんて平和なんでしょう。

興行収入は5億円程度にとどまる模様。前作が8億を超えたことを考えると、
明らかにダウン。今回は事前の煽り不足は明らかだったし、前作はGW邦画の
目玉だったし。もっとも煽り不足なのは煽りようがなかったからだし、GW映画
にならなかったのは踊るのスピンオフをかわしたかったとか、単に制作で
ごたごたがあったからだろう。結局「ローレライ」に先手を打たれて完敗
したわけですが。
まあ、こんな考察するまでもなく、所詮アイドル映画という世間の評価は
全く動いていないと思われます。あんな爆笑もんのトレーラーを流してる
時点で勝つ気ないんでしょう。


監督/金子修介(恋に唄えば♪、ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃、クロスファイア)
脚本/水島力也(あずみ)、川尻善昭
原作/小山ゆう「あずみ」
撮影/阪本善尚(突入せよ!「あさま山荘」事件、Quartet)
音楽/川村栄二
出演/上戸彩、石垣佑磨、栗山千明、小栗旬、北村一輝、遠藤憲一、宍戸開、坂口拓、謙吾、増本庄一郎、伊藤俊、武智健二、渕野俊太、野村祐人、前田愛、根岸季衣、永澤俊矢、神山繁、高島礼子、平幹二朗
 
 
 
 
 
<以下ネタバレ>
 
 
 
 
 
●映画を真面目に作る気がないのか?

1.技術的に終わってる
CG合成の技術が酷すぎる。ホントもう少しどうにかならんのかと。
はっきりいって今回は別に無理してCG使うようなもんじゃなかったと思うし。

2.編集、演出が終わってる
場面の切り方がおかしい。余韻の必要な場面でばっさり場面を切り替え、
余韻のいらんところでやたら引っ張る。あまりのノーセンスぶりに呆れた。

3.殺陣、アクションが終わってる
なんだかんだいっても北村龍平はそれなりにウリがあったのだなと
思わせられる終わりっぷり。北村っぽさを一番残していた冒頭の殺陣が
一番良くできていたぐらいか・・・

4.脚本が終わってる
1もたいしたこと無い脚本だったけど、それに輪をかけて終わっている。
感情移入なんぞ何が何でもさせないぞ!という気概が伝わってくる。
誰一人行動原理がしっかりしてる奴がいないのはどういうことなのか。
Deathはともかくどの辺がLoveなのかもさっぱりわからんかったなw

5.真面目に作る気なさすぎ
「なんぼのもんじゃい!」とか高島礼子にいわせ極妻化。
極めつけは「あずみ」に安住アナを出すおバカぶり。


総じて1の北村節を中途半端に引きずってしまって、大失敗してる。
北村龍平とは真逆をいって真面目に時代劇にするのか、
完全な独自色を打ち出すのかの二択しかなかったのに。
主演の演技力を考えると、後者しかなかったような気もするわけで、
となると北村龍平の濃さを考えると、この勝負は仕事を引き受けた
時点で敗色濃厚であったと言わざるを得ない。
撮影中からいろいろあったとか風の噂に聞くが、
それにしたってこれは言い訳不能のどうしようもなさだ。

●それでも必死でいいところを探した俺

探しましたよ、必死に。
中盤ぐらいまでホントにエンケンぐらいしか見どころないんだもん。
でも終盤にしっかりありましたよ。
しびれ薬でしびれちゃった上戸彩がとにかく激エロ!!

総じて相変わらずの大根ぶりを見せていたが、ここだけは良い演技していた。
その悶えっぷりだけはよくぞこれを撮った!と評価に値する出来。
「Death or Love」は??だったが、「少女を捨てる」(上の写真右上部分のフレーズ)
はそういう意味だったのか(笑)
いや、ホントにこれくらいしか観るとこなかったんだってばw

あと栗山千明。小悪魔なキャラがやっぱり上手い。
ただこんな役ばっかりやってるから、出てきた瞬間こいつ裏切るな
と丸わかりだし、今回もやっぱり死んでしまったんですけどねw
竹内結子も死にまくりですが、こっちは殺されまくりなので、
さらに上をいってます。ただ、今回は生存時間が今までに比べ長かったです。
まあこういう役はこれで打ち止めにして、そろそろ違う栗山千明も観てみたいね。
下弦の月でも見てみるかな。

●そんなことより・・・・・まさか????

北村一輝を生き残らせたのは3やる気なのか?
正直もう勘弁してくれ(笑)
 
 
 
最後にたぶんまともな鑑賞者なら誰もが思ったことであろうが
これだけは言わせて欲しい。

な゛ん゛な゛ん だ ご れ はーーーーーはこっちの台詞じゃボケー!!!!

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Thursday, October 07, 2004

『SURVIVE STYLE5+』(映画館)★☆

survive.jpg

『SURVIVE STYLE5+』★☆

この手のストーリー性が希薄な映画は見慣れていないと、
楽しみ方がわかりにくい。まあ別にわかる必要もないけど。
そんなわけで、人には絶対オススメしない。
『PARTY7』ダメだった人とか絶対見にいっちゃダメ。
映画ではなく、映像作品集を見に行くと割り切れる人はギリギリ可。

監督:関口現
脚本:多田琢
撮影:シグママコト
キャスト:浅野忠信、橋本麗香、小泉今日子、阿部寛、岸部一徳、麻生祐未、津田寛治、森下能幸、ジャイ・ウェスト、荒川良々、ビニー・ジョーンズ、貫地谷しほり、神木隆之介、三浦友和、千葉真一


<ネタバレややあり、ほとんどないけど(笑)>


最初からCMプランナーが作る映画なので、ある程度プロットに
関しては覚悟して見に行ってましたが、想像以上のプロットの無さに、
すっかりやられました。
プロットがたとえスカスカでも、映像の瞬発力とネタの質、ネタ同士の
繋ぎ方で面白い作品にはなりうるんですが、ネタひとつひとつの質
もそれほどではないし、繋ぎ方も下手すぎる。
そのうえ上映時間も長すぎ。この内容で2時間はあり得ない。
2時間はねぇよな、2時間は。浅野だけのストーリーとかで、
ショートフィルムの一つとして出てきたら、それなりの評価をしていたと
思うし、やっぱりネタの繋ぎが下手すぎ。5つ同時進行にする意味が
感じられないんだもん。

何の為に映画を撮ったのかが最後まで見えてこない作品だった。
思いついたけどCMには出来なかったネタを、ひたすら映像化
しただけにしか見えなかった。そう、劇中に出てくる小泉今日子そのもの。
出来なかったネタをやるのは別にいいんだが、その出来なかった理由は
”商業的じゃなかったから”ではなくて、”CMの時間では表現しきれなかったから”
でなくてはちょっとつらい。
商業的じゃないものは、映画にだってそのまま持ち込み放り込むだけならば、
観客を置き去りにした自己満足の作品で終わってしまうのだから。

とまあ結構怒ってるんですが、一応キャストには見どころがあります。
自分を鳥だと思いこんでいる男岸部一徳、通訳荒川良々、
妻を殺し続ける浅野忠信、役割にこだわるヒットマンのヴィニー・ジョーンズ
などなど、豪華なメンツが揃っているだけあって、役者の演技には
見るべきモノがあります。
一押しはこの映画の中で唯一映画らしいシーンを演じきった神木隆之介かな。
あそこだけは間違いなく映画だった。

関口さんの演出も見るべきところはあった。
美術(部屋、建物)や衣装は見どころ多数。
音楽はオシャレ臭と、多用しすぎでやや鬱陶しかった。

それにしても多田琢さん、最後はシャレてる感じの映画が好きで、
投げ捨てるのはあんまり・・・って答えていたけど、
これって十分投げ捨ててるよね。ていうかめっちゃ投げ捨ててるよね(笑)
多田さんは既に二本目の脚本を書き始めているらしいけど、
もう少し、映画らしい映画を作った方がいいと思う。
やりたいことをやるのはそれからでも遅くないはず。
もっともこの出来で次が撮れるかは甚だ疑問ではあるけど・・・

それにしてもシネコンでもこんなもんが上映できるようになったんだな。
しみじみしたよ。

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