Sunday, June 11, 2006

『初恋』★★~映画女優であるということ~

『初恋』★★

Newhatukoib

監督:塙幸成
出演:宮崎あおい、小出恵介、宮崎将、小嶺麗奈、青木崇高、柄本佑、松浦祐也、藤村俊二

今年4本目の宮崎あおい主演映画鑑賞。
そろそろ当たりをひかせてくれても良さそうなものだが、今回も映画の神様は
僕のそんな淡い期待をハンマーで叩き壊していったのだった。

『以下感想文要約』
1.60年代という時代の描き方は及第点。まあそれなりに趣がある。
2.物語としては構造、仕掛けなどが弱い。つまり平坦で退屈するかも。
3.宮崎あおいや、小出君のファンだとか言うなら、まあ観られる映画。
 
 
 
 
 
以下若干のネタバレを含む
 
 
 
 
 

●「初恋」それは60年代後期を舞台にした映画

今回、宮崎あおい映画にしては珍しく、宣伝をやたらとうっている。
GAGAもUSENになってすっかり様変わりしたらしい。
この映画が「初恋」というタイトルに似つかわしくない、3億円事件を
題材にした60年代後期の話で、しかも宮崎あおいが実は
3億円事件の犯人であるというストーリーは皆が知ったうえで
この映画は鑑賞される。

60年代後期は学生運動あり、アメリカに影響を受けたエキセントリックな
風俗ありで、若者を描く題材としては、実に映画的に画になるものであり、
これをとって画的によろしくないなんてことは・・・まずないだろう。
まったりとした学生生活で、これといった刺激もない今の世代から観ると、
興味深い話も多いだろうし、お話としてもいかようにも魅力的に作れるはずだろう。

実際に映画の中に出てくる風俗やら学生運動は、それなりに趣がある
ものに仕上がっているし、60年代を描きましたという観点からは
及第点であったと思う。もちろんこれは「初恋」の映画なので、
60年代はこの映画に関しては核ではない。舞台装置である。

●そう、これは「初恋」の映画だった

だが気づくと、60年代のニヒリズムいっぱいの若者たちと、
なんとか孤独から脱したい少女のゆるい物語を眺めて、長い時間が経っていた。
そう、そういえばこれって「初恋」の映画だったよな?

Bでの出会いのシーンや、補導されそうになるシーンなどで、
一応の伏線みたいなものはあるにはあるのだが、核部分の話が
あまりに平坦に進んでいき、それとはまったくリンクしないところで
Bの仲間達の話がでてきて、これまたそれとはあまりリンクしないところで
三億円事件の話が進行し、核であるはずの「初恋」はどんどんぼやけて
いってしまう。

最大の原因は、みすず、岸のバックグラウンドの描き方が甘すぎたこと。
アニキの亮とかのバックグラウンド描く余裕があるなら、もっと二人の
バックグラウンドを突っ込んで描くべきだろう。特にみすずに関しては
家庭や学校での孤立はそれなりに伝わってきたが、何故そのあとの
Bの仲間との交流をもう少し描かないのか?そうした部分の描き方が
凄く下手であるがために、終結部分でのギャップが小さくなるから、
物語としての面白みがない。

●そういえばこれは3億円事件の映画でもあった

そうそう、これは女子高生が実は3億円事件の犯人だった
という突飛な設定の映画でもあった。
事件の顛末はここに書くことはしないが、こちらは映画的には
凄くちゃっちい。だが、そこが確かにフィクションっぽくないともいえなくもないし、
「初恋」に突き動かされたという動機もそれなりに納得できる部分がある。
とはいえ、あまりにも間延びした描き方をしているので、緊迫感がなく
せっかくの題材をふいにしてしまっている印象が大きかった。
事件内容はある程度皆が知って観ているし、確かにクライムサスペンス
じゃないのだが、映画全体にあまりにメリハリがなかったので、
せめてここで付けてあげればいいのにと思ってしまった。

●「初恋」~宮崎あおいという映画女優~

いろんな題材を薄くして貼り合わせたような映画だった。
そして、映画として押さえるべきツボを押さえていない。
特に映画として終結部の出来がよろしくないのは致命的。
みすずがランボーの詩集の文を見つけるシーンで、今までの空気を
ぶち壊すような音楽を大きく流すのも興ざめだし、ラストにそれぞれの
その後をああいう形で出す必要性もまるでない。
最後まで題材ごとのバランスと融合がうまくいかない作品だった。
画自体は悪くなかったし、流行の情動をわかりやすく表現する純愛映画には
なっていなかっただけに、もったいなかった。

とまあここまで感想を書いたところで、今年の宮崎あおいの映画の
批判の中心にある部分があまりに似通っていることに気づく。
どれもこれも脚本がどーにもこーにもつまらないのだ。
(いや別に今年に限ったことじゃないだろとか言わないように・・・)

確かに宮崎あおいという女優は今や日本映画の看板女優である。
画面に出ているだけで、それなりの空気感を作り、映画っぽくしてくれる。
そういった才能を持った女優はそうそういるものではない。
しかしそうであるが故に、宮崎あおいを起用する映画というのは、
映画っぽい映画を狙ったスカした映画が多い気がする。
悪く言うなら旧態依然とした中身のない日本映画になっていて、
結果として、宮崎あおいのイメージビデオみたいとか言われる映画が
量産されている。

ただ他にも日本映画を彩る映画女優はたくさんいるし、他の映画女優には
それなりの映画がきて、宮崎あおいにこないのは何故なのか?
思い当たる差異は、宮崎あおいが少女っぽさと、透明感のある暗さをウリ
にしている点ぐらいしか思いつかない。そのウリが役どころを狭め、
このような状況になっているとするなら不幸としか言いようがない。

とはいえ宮崎あおいも20歳になり、そろそろ役の幅を考えて行かなくては
ならないだろう。ハチ役も一見新境地のようでもあったが、「パコダテ人」の
流れを汲んだものと言えなくもないので、まだまだ違う役どころを開拓して
いかなくてはならないし、そうすることで、いい加減良い映画に巡り会える
かもしれない。
僕としては、宮崎あおいの自然な役作りを最大限に活かした映画が
観てみたいので、テイストとしては「好きだ、」のような映画で、
なおかつ中身がしっかりしているものを期待している。
だから、別に役の幅なんてそんなに広げなくいいと思っているのだが、
そんな映画は良質な映画はそもそも年に1,2本世に出れば良い方で、
待つのには忍耐、あたるのには運、さらに映画女優であり続けることも必要である。
その道のりは果てしなく遠い・・・

「ギミーヘブン」「エリ・エリ・レマ・サバクタニ」「好きだ、」「初恋」と4本が終わり、
宮崎あおいのビッグイヤーもあとは「ただ、君を愛してる」を残すのみ。
最後の一本ぐらいはなんとかして欲しいものだし、今年唯一のメジャー系映画である。
ただよりによって何故東映というメジャーを選んじゃうかな。東宝にしとけばいいのに・・・

当初は5本の中で一番期待していない映画だったが、いよいよこんなベタベタの
純愛映画が意外といけるんじゃないかなどと、思ってみたり・・・
これだけは、マーケットに求められる宮崎あおい像から作る映画ではなく、
純愛映画ブームというマーケットから作られる映画だし。
映画の神様にそう問いかけてみるんだけど、神様は純愛ブームってまだあるの?
とか言ってきそうな予感でいっぱいである。
とりあえずは10月28日まで、しばしのおやすみ。

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Sunday, April 03, 2005

『ローレライ』(映画館)★★

『ローレライ』(映画館)★★

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フジテレビの映画ビジネスは見事といえる。
なんだかんだいって、近年の邦画再興の動きは彼ら抜きでは語れない。
今回もガンオタ共によって作られたアホ潜水艦作品をあたかも
戦争スペクタクル感動巨編であるかのようにみせた技術は高く評価できる。
しかしだよ、この出来ではいかんともし難い。
正直、こんなオタ映画を大衆ラインにのっけられるチャンスなんてそうそうない。
せっかく一般人にオタのパワーを見せつけてやれるチャンスを得たのに、
ほんといったい何をやってるんだと。

まあそんなわけで、それなりに出来がよければ、観てすぐにでも、
「こんなすげー映画はねえぜ!」と軽く提灯記事でも書いてやるつもり
だったのだが、はっきりいってオタが苦笑しつつ見る以外ない代物で
あったため、むしろオタ文化にとって逆効果になるのではないか?と
個人的には考えるにいたり、感想を書くのが遅れました・・・・・
ということで納得していただけましたでしょうか?w

あなたはどのガンダムが好きですか?
ガンダム観たことないって?そいつはいけませんな。
それならとりあえずこの映画は見ない方がいいと思うよ、うん。
こんな映画観る暇があるならまずはファーストガンダ(以下略)

監督/樋口真嗣
脚本/鈴木智、中島かずき
原作/福井晴敏「終戦のローレライ
撮影/佐光朗(海猿リターナーピンポン
音楽/佐藤直紀 (海猿恋愛小説
出演/役所広司、妻夫木聡、柳葉敏郎、香椎由宇、石黒賢、粟根まこと、塚本耕司、井上肇、近藤公園、KREVA、國村隼、佐藤隆太、ピエール瀧、小野武彦、阿川佐和子、橋爪功、野口雅弘、大河内浩、佐藤佐吉、忍成修吾、江畑浩規、平賀雅臣、鶴見辰吾、伊武雅刀、上川隆也、堤真一
 
 
 
<以下ネタバレ>
 
 
 
 
 
●この映画を観る上で認識というか許容すべき大前提

この映画はそもそも樋口監督が福井晴敏氏に対し、
1.第二次世界大戦が舞台であること
2.潜水艦が主役であること
3.少女が出てくること
を条件に執筆を依頼したものです。
小説は映画化前提で書かれたものというか、原案ありきで、
そこから映画と小説に分裂したというのが正しいのかもしれません。
つまり小説と映画の脚本の内容はかなり相違があるぞってことです。
とりあえず、一般人なら2と3を一緒に盛り込もうとは考えないし、
それを条件で出されても、まさか強化人間ちっくな少女をだして、
あんな超絶システムを作り出すとは思いもしないでしょう(笑)
これがオタ共のイマジネーションなのです。

とりあえず設定に「あり得な~い」とかいうツッコミをマジでしてはいけません。
ローレライをはじめとする超絶兵器は全て許容しましょう。
これを作った人たちはガンオタです。やっぱ主砲がないと駄目です。
波動砲がないだけでも譲歩したぐらいの勢いです。
だいたい主砲がなければ、ラストシーンの超絶飛行機落としが
できないじゃないですか。現実的な潜水艦の装備じゃ核攻撃は
阻止できません。もっとも爆撃機を撃墜したのは緊急プランであり、
当初はどうやって核攻撃を阻止するつもりだったのかは、甚だ疑問
ではあります(笑)当然ですが、ローレライシステムなんてスルーです。
ていうかローレライなくても強いじゃん。だってちっとも弾当たらないじゃん?
とかツッコンでもいけません。

そしてやはり秘密兵器と美少女は切り離せません。
彼女はナチスのニュータイプ研究所が誕生させた強化人間ですから、
そのニュータイプ能力によって水を媒介として、まわりの情報+人々の感情
までも受信してしまうのです。ナチスの科学力をもってすればなんとなくできそうでしょ。
ていうかできるんですよ。ヒロインが変なTMレボリューションが昔Hot Limitの時に
きていたような包帯みたいな服とか、通常着ているあの黒い服も全てスルーです。
たぶんドイツではメジャーな格好なのです。

とまあここまできてようやくこの映画を見るためのスタートラインにたてます。

残念ながらスタートラインに立つことなく映画を見てしまって
「こんなアニメを実写化したような映画だとは騙された!」というあなた。
確かにフジのあのトレーラーの作り方は汚いです。でも、そこの中にも
怪しい格好をした少女やら、太平洋戦争中の日本海軍の将校とは思えぬ
なめた髪型をしている奴らを垣間見ることはできました。
よもや緊急時に甲板でラブラブしたりとか、モーツァルトの子守唄が響き渡ったり
したりするとこまでは予見できなかったかもしれませんが、兆候はありました。
今後はしっかり危険因子を感じ取れるよう努力しましょう。


●大前提の上に積み上げられた解に対する批判

とまあここまでは僕も適正を持つ者として許容してました。
しかし、それと映画の出来は全く別問題なわけです。

まずプロットが意味不明です。
朝倉大佐、および潜水艦で反乱を起こしたクルー達の背景もよくわからないし、
彼らの起こした行動の意味がどうにも理解できません。ローレライを差し出し
なおかつ、東京へ核攻撃してもらうというのはどういう取引なのかと。
国を想って日本を一度リセットするとかいうわけのわからない考えを、百万歩
譲って受け入れたとしても、どうにも理解できない点が多すぎます。
朝倉大佐のまるで2005年を生きる者のような考え方もまた、これらの要素を
混迷の中へとたたき込んでいます。
朝倉大佐のような思想がいっちゃってる人はアニメでは良く登場しますが、
シャアのように愛されるキャラでなくては、ただの阿呆です。

次に登場人物達の描写が甘すぎる。
一番描きこまれている人物がピエール瀧ぐらいで、中心人物である役所、妻夫木ら
が全然描き込まれない。ただのラブ要員である妻夫木はともかくとして、役所が
全く描き込まれていないのは全く意味不明。弱虫艦長とかいうレッテルを貼られて
いたらしいが、どこら辺が弱虫なのかといったエピソードは特攻は認めないぐらい
しか出てこず、特にこれといって型破りな感じの艦長でもなく、佐藤やら柳葉を
失った時も全然苦悩してる風ではなかった。役所を起用した時点で、もう役所さんの
イメージで押し切りましょう、てへ、ぐらいの考えで作ったとしか思えない。

こうした人物描写の甘さは、ラストシーン周辺のグダグダ感にも繋がっていく。
妻夫木と香椎を切り離し、おっさん共は決死の攻撃へと向かうわけだが、
なにやらパウラ(香椎)と随分交流があったかのように話が進むが、そんなシーン
はまるでなかった。上川隆也のエピソードで「こんな少女一人の為に・・・」
とか言ってるけど、そこもはっきりいって根拠がなさすぎてちっとも響かない。

最後にこの映画は先が読める話のくせして、そのベタさ加減を使い切れず
かなり損してる。佐藤隆太が死ぬのは当然の展開だが、なんでボール拾おうとして
手が挟まったとかいうしょっぱい死に方なのか?妻夫木と香椎を切り離し、
原爆を積んだ爆撃機を神業で撃墜し、格好良く任務を完了したのに、
なんで轟沈するシーンがないのか?
やるならちゃんとやれ、勘違いしてこの映画を観に来てしまった人にちゃんと
サービスせんかい!と激怒もんの内容であった。
レベルの高い感動描写は要求するつもりはない。セカチューでもみんな泣くんだし、
この映画の描写でも、佐藤とか柳葉が死ぬシーンですすり泣く声はまわりから
聞こえもした。でも、ちゃんとやっていれば、もっとちゃんと感動を与えられるのだから、
もったいなことをするんじゃないよと。


●オタク映画なのにヒットしているという事実

こんなオタ映画なのに公開一ヶ月経ちますが、まだまだ全国200館規模で
公開中です。客もそれなりに入っており、ロングヒット中です。

フジの宣伝戦略、邦画のスペクタクル風映画の圧倒的不足、キャストの口当たり
の良さなどなど、これだけの好条件がオタ映画に揃った。
上手くいけば、オタク文化の評価向上も夢ではなかったのに、
本当にもったいないことをした。今後の邦画作品の傾向に大きく影響を与え、
海外へのアニメ、ホラー以外の売り出しも十分可能となるターニングポイント的作品に
なってもおかしくなかったと思う。まあ、その夢は次へ託したい。
一応ヒットはしたのだから、まだチャンスはあると信じたい。

何をいってるんだこの阿呆はと思う一般人の方もいらっしゃるだろうが、
この壮大なオタ映画にどれだけのオタ共が期待していたか・・・・
特撮シーンの絵コンテを庵野秀明がきり、B29のロゴを押井守が描き、
富野由悠季もカメオ出演、んであのパウラの変態スーツが出渕裕のデザイン。
まさにオタ共の夢を乗せた作品だったのだ。
それだけにこの出来の悪さは僕を大いに失望させてくれました。

うーんまあつまるところ
作り手が満足しているもの=受け手も満足している
という要素があまりにもオタの世界では強すぎる。
だからちゃんと受け手(一般の方々)を意識した作品作りができんのかもなぁ・・・・

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Sunday, January 30, 2005

『北の零年』(映画館)★★

面白そうだったなあ、「ローレライ」のトレイラー。
「鋼鉄の魔女、始動。」とか言われたら観るしかないじゃん。
なんかヒロインのコスチュームとか観ると、だいぶアキバ系作品に
仕上がっているような気もする。海洋堂も協力してるとか宮脇専務が言ってたしな。
原作読んでないけど、作者もガンオタだし、まともな潜水艦モノだと勘違いして
見に行くと大変なことになりそうな予感。
「北の零年」観に行ったらこのトレイラー流れたんですけどね。
東映の「北の零年」制作費15億、東宝の「ローレライ」制作費12億。
今年も両社の差はさらに広がってしまうのだろうか。

『北の零年』★★

kitanozeronen_yurisato北の零年に対する正しい目線

やっぱり東映は駄目だなぁ・・・一生アニメ祭りやってろ!
と毒づきたくもなる出来。最近はこんなのとかこんなのを作ってるようで、
アニメ祭りのバリエーションも豊富なご様子。そんなに東映ひどいっけ?
なんてこと言ってる人の為に去年終盤の東映ラインナップを紹介。
「デビルマン」→「海猫」→「レディ・ジョーカー」('A`)
よくもまあこれだけ駄作を並べられるものだと。
僕は一本も見てないんだけどね(笑)とにかく評判はめちゃくちゃ悪かった。
特に「デビルマン」は別格扱いされてたし。
amazonでも発売前なのに★1ばっか(笑)
逆にここまで来ると観たくて仕方がない。

脱線しきったところで、そろそろ「北の零年」の話しを。
僕の「北の零年」の鑑賞後イメージは”アイドル映画”そのもの。
僕がここでいう”アイドル映画”ってのは、アイドル映画としての要素以外は
あまりに取り柄がない映画を示す。
僕は全然サユリストではないわけで、興味がないアイドルのアイドル映画、
なおかつ2時間50分という長さのもんを観せられては、
そりゃもうぐったり以外の何物でもないわけで。
サユリストはもちろん観るべきだろうけど、あとはスケール感で楽しめる人とか、
キャストに特に好きな人がいない限りは、劇場に足を運んでまで観る必要は
ないと思う。

ただ興行的に失敗しているかというと話は別なようで、客は平日でもそれなりに
入っていた。夫婦50割引で観ている人ばっかりだったけど。
そういえばあの東映&吉永小百合の「千年の恋」は凄まじいクソ映画
であったにも関わらず、20億もの興収を叩きだしていた。
これは2002年の邦画興行収入でアニメ・特撮を除けばトップの成績。
あれで20億行くのだから、「北の零年」が40億いけると言われても、
「千年の恋」よりキャストも豪華で、宣伝もしてるのだから全然納得できてしまう。

50歳以上へのターゲッティングの成功というよりは、この世代が観るような映画が
全然作られていないというのが正解なのかもしれない。
インドアで時間的余裕が必要な映画という娯楽に、もっとも適している世代
なのだから、もっと意識的に作品を投下してもいいわけで、
冬ソナのように誰かが隠れマーケットを掘り当てる日も近いかもしれない。
まあクリエイトする側がこの世代より若い人ばっかりだから、そう簡単に
いくわけないんだけどさ・・・

監督/行定勲(世界の中心で、愛をさけぶきょうのできごとGOひまわり
脚本/那須真知子(デビルマン
撮影/北信康(阿修羅のごとく模倣犯
音楽/大島ミチル
出演/吉永小百合、渡辺謙、豊川悦司、柳葉敏郎、石田ゆり子、香川照之、石原さとみ、吹越満、奥貫薫、阿部サダヲ、金井勇太、大高力也、大後寿々花、モロ師岡、榊英雄、寺島進、アリステア・ダグラス、忍成修吾、中原丈雄、田中義剛、馬渕晴子、大口広司、藤木悠、平田満、鶴田真由、石橋蓮司
 
 
 
 
 
<以下ネタバレ>
 
 
 
 
 

●群像劇なようで、そうでもないという気持ち悪さ

激動の時代-北の原野に辿り着いた546名の愛と戦いの大河
刀を捨てたサムライ 夢を信じることが 最後の武器だった

この映画のキャッチコピー。
確かに渡辺謙が札幌に旅立つぐらいまではそういう話だった。
ただ、そこから先は一気に仏のような吉永小百合映画になってしまい、
視点も固定されていってしまう。脚本もそこまでも大したもんではなかったけど、
さらに悪化。後半の渡辺謙はさしたる見せ場もなく、あまりの美味しく無さ
に同情すら覚えた。渡辺謙ですらこの扱いなのだから、他の人物の描写など
期待できるはずもない。敢えて言うなら石田ゆり子とトヨエツぐらいかな、群像劇
してたのは。あとの人物は感情移入できるほど描きこまれてない。

映画後半の印象はいつも同じ表情をしている吉永小百合のアップばかりだった。
こういう映画を作るなとは言わない。15億かけて、豪華キャストを揃えても
かまわない。ただこのスケールでやるならもっと脚本を推敲しろと言いたい。
僕はこんな無駄遣いは大っ嫌いだ。
脚本がやばいんだろうなぁというのは「デビルマン」の那須真知子ということで
ある程度は覚悟していたけど、期待を裏切らないひどさだった。
突然ええじゃないか運動が始まったり、死にゆく少年に香川照之は悪魔だと
取り憑きによって今後の展開を示唆したりと、神業の数々を披露していただいた。
まだまだツッコミしたりないけど、キリがないのでこの辺にしておく。

●脚本並のツッコミどころ吉永小百合

いくらなんでも年齢的にこの役は無理がありすぎた。
演技が上手いだとか下手だとかそういう以前の問題。
渡辺謙の嫁であるのは百歩譲って許すとしても、あんな小さい子
の母親はいくらなんでも無理がありすぎる。どうみても孫。
ちなみに演技も上手いとは到底思えなかった。

吉永小百合の弊害は他にもある。
それは映画全体の泥臭さの減少。開拓者達の群像劇要素がこれによって
だいぶ損なわれてしまったように思う。
柳葉敏郎などが泥臭さを出そうと奮闘していたのも、泥臭さが少し漂ってきたところで、
吉永小百合が出てきてその泥臭さをどこかに葬り去ってしまう。その繰り返し。
終始吉永小百合は吉永小百合であり続け、汚れを知らない。
アイドル映画なのだから、それはそれでいいのかもしれないけど、
あの雪の中で遭難するシーンですら、全く泥臭くないのはいくらなんでもね。
今回吉永小百合はNG行為なし(普段は22時以降は絶対に撮影しないとか
いろいろルールが決まっているらしい)で撮影に挑んだらしいけど、その効果は
さほど観られなかったと言わざるを得ない。
ロケもめっちゃ厳しかっただろうに、それが生かし切れていないのは
本当に残念でならない。

吉永小百合以外でも、例えば淡路なまりがまるで出てこないし、
遭難後一気に五年飛ばしてみたり、全体的に泥臭さを表現する
意識が低かったということも付記しておく。
群像劇としても途中で投げ出して、開拓者達の泥臭さも
ないのであれば、何を表現したいんだよ?ってなる。
「サムライの時代が終わった」というテーマ性?それだったら
もうちょっとサムライ達に関してもちゃんと描いてやれよと・・・
ていうか渡辺謙をホントどうにかしてあげてくれ。
病気で音信不通になったっていうのはいくら何でも酷すぎる。

●全部ひっくるめて東映はやっぱり駄目

散々駄目だししてきたけど、結局全体をプロデュースする奴が
なってないわけで、東映はホントどうにもならんかも。
吉永小百合も良くないのは確かだけど、結局吉永小百合ありきでの
企画なのだろうから、キャストミスというよりは設定ミスで
あると言うのが正しいのだろうしね。
東宝の映画が良いなどという気はさらさらないけど、
東映は良い映画どころか、マシな映画も満足に作れていない。

●余談-国民的アイドル観-

僕らの世代はすっかりセグメントの細分化が進んでしまって、
”国民的アイドル”という価値観がよくわからない。
永遠のアイドルって言葉はもう死語で、僕らが50割引適応される頃には、
こういうアイドル映画は作れないかもしれないと思うと、それはそれで寂しい。
僕ら世代にも実は吉永小百合を目指していた某ヒロスエがいたんだけど、
その計画は自滅によってもろくも崩壊してしまったわけで。
もっとも自滅しなくてもうまくいってたとは思えないけど。

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Friday, January 21, 2005

『約三十の嘘』(映画館)★★

『約三十の嘘』★★

yaku30nouso

ドラマにも飽きたので、映画の感想書き。
観てから軽く二週間以上経ってしまったこの映画。
『恋文日和』と同じ日に観たんだけど、インパクトがあまりになく
感想を書く気がおきなかった。
おそらく僕の期待した所に力点を置いた内容ではなかったことが原因。
タイトルが「約三十の嘘」で詐欺師達の話、しかも舞台劇が原作となれば、
痛快な会話劇を期待しちゃうじゃないですか。
でも別にそういうわけでもなく、終わってみると普通の群像劇だった。
こっちが勝手に期待していてそうじゃなかっただけで、格段悪い映画だと
いうことでもないんだけど、そういうわけで評価は低め。
なお脚本渡辺あやに釣られそうな人は、本当にちょっと台詞とかを
書き換えた程度で、本筋にはノータッチなので期待しない方がよろしいかと。

監督/大谷健太郎(アベックモンマリとらばいゆ
脚本/土田英生、大谷健太郎、渡辺あや(ジョゼと虎と魚たち
原作/土田英生
撮影/鈴木一博(機関車先生ヴァイブレータblue
音楽/クレイジー・ケン・バンド
出演/椎名桔平、中谷美紀、妻夫木聡、田辺誠一、八嶋智人、伴杏里

 
 
 
 
 
<以下ネタバレ>
 
 
 
 
 
●舞台劇を映画化するメリット

舞台だったものを映画にする。
舞台ではできなかったことが映画ではできる。
そういう観点から観るとラストの宝田(中谷美紀)の落としどころ
は確かに映画でないと表現しにくいところではあったかなと。
ただそうすることによって舞台より面白い作品なったかと言われると
疑問符が付く。舞台版ではみんなが次々と嘘話をしていくといったシーン
があったりと、会話劇としての面白さがあったらしいが、映画では
ヘタレ詐欺師の馴れ合いと、恋愛話の方が中心になってしまい、
そうした舞台的な会話劇の面白さがかなり削がれてしまっている。
舞台劇をせっかく映画化したのだから、舞台ならではの面白さは
残しても良かったはず。特にこのような密室劇の場合はなおさら。
その点「笑いの大学」はそうしたことをしっかりやっていた作品だった。

映画化した他のメリットをあげておくと、このキャストで舞台は無理
ってことと、寝台特急トワイライトエクスプレスの魅力がそれなりに
伝わってくること。特にトワイライトエクスプレスは、客室のシーンは
流石にセットだったようだけど、それ以外はしっかりロケをしたらしく、
大阪に住んでいたならこいつに乗って北海道に行ってみたくなる
内容だった。
豪華キャストはかなりスケジュール厳しかったんじゃないかなと。
ただでさえ、寝台列車でロケなんて時間制約される設定だし。
群像劇としての弱さを感じてしまうのは、そうした余裕の無さにも
一因があるのかもしれない。

●ゴンゾウ

宣伝で前面に押し出していたゴンゾウが実際は全然活躍しない。
これ自体が一つの嘘として働いているという演出なのかもしれないけど、
あまり感心はしない。映画の内容も嘘に満ちあふれた痛快な話で
あれば、納得いく宣伝術ではあったと思うけど。
映画の内容を見る限り、こうした変化球っぽい宣伝をしたくなるのは
わかるんだけどね。タイトルから連想されるイメージに比べて、内容が
普通すぎて宣伝しにくい映画だと思うから。
でもやっぱむかつくわ。結局、期待してその通りじゃなかったから
むかついてしまうんだろうな。

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Thursday, January 06, 2005

『インストール』(映画館)★★

うー、のどが痛い。
早くも今年初めての風邪らしい。
とりあえずは新ドラをにらみつつ、去年の観た分の映画の感想を
さっさとあげてしまうことにする。

『インストール』★★

install_ueto

アミューズCQNで鑑賞したんだけど、人少なっ!
まだ公開初週(観たのは12/28)だってのに。
角川宣伝甘過ぎ。オスカーはいつものごり押しっぷりはどうしたのだ。
菊川も友情出演してんだしガンバレよ。テレ東も映画の宣伝力ホントないよな。
見どころは上戸のパンチラ、卑猥な言葉を連呼する上戸、あと終盤のある意味
衝撃的なあのシーンか。中途半端な上戸ファンにとってはそれなりに見せ場は
あると思う。でも映画館にわざわざ観に行くような映画じゃない。
映画館では他の映画でも観て、こいつはレンタルに並ぶのを待ちましょう。

監督/片岡K
脚本/大森美香
原作/綿矢りさ  『インストール』
撮影/池田英孝
音楽/Rita iota
出演/上戸彩、神木隆之介、中村七之助、菊川怜、小島聖、田中好子
 
 
 
 
 
<以下ネタバレなのだ、パンチラ(*゚∀゚)=3パンチラ(*゚∀゚)=3>
 
 
 
 
●リタ・アイオウタの音楽、片岡Kの演出

とにかく音楽が僕と相容れなかった。
序盤の同じ音楽垂れ流しループとなめたSEの連打には、すっかり参ってしまった。
片岡監督はこの音楽こそが映画の肝であるかのように言っていたので、
ここで感性が合わなかった時点で、僕は片岡監督が考えるお客さんではなかった
ってことだ。でも、この音楽の使い方は、なかなか大衆受けするようなもんでも
ないと思う。曲単体はそんなに悪くないんだけど、とにかく使いすぎ。
同じ旋律を使うなら宮崎アニメのようにせめて場面毎にアレンジして使ってほしい。
心情を音楽で表しているというのなら、なおさらそうすべきだろう。
元々片岡Kは大衆受けを志向する人ではないので、当然といえば当然
なんだろうけど、TV畑から来る人にはつい監督の自意識の表現より、
エンターテインメント性の表現に期待してしまう。

もっとも監督としてはこの音楽の使い方こそが、エンターテインメント性へのすり寄り
だったのかもしれない。この作品は登場人物も少なく、主人公のモノローグが多い。
内容的に暗くなりがちな部分を緩和するために、明るい音楽を終始流し続けた
と考えられなくもない。映像的にもチャット部分を派手な貸座敷シーンに変換
したりして、動きとアイドル映画を意識した演出をしてたし。
これもズレてる演出といえば、ズレてる演出だったけど。

●脚本大森美香

はずさないだろうと思っていた大森美香がはずした。
演出の不味さがあったとはいえ、脚本も十分とは言えなかった。
確かにこの原作は映画に向いているとはとても言えない。
そもそも短編みたいな分量だし、登場人物は少ないし、主人公の
心情描写もはっきりしているわけではないし、動きのあるエピソードもあまりない。
明確なカタルシスもない。
必然的に脚色が必要となる。大森美香が施したのは

1.光一が死んだことにした。
   物語に起伏を持たせようとした。しかし最後の最後まで明確には死んだことは
   ネタバレしないし、ラスト明らかになっても観ている人がその事に大して関心を
   抱くようなストーリー展開でもないため、かなり弱いエピソードに。
   不登校になったのが、友人の死が引き金になっているというのも、
   原作とニュアンスが変わってしまうような気がする。
   時計台等々でモノローグを処理する手段のひとつとしては悪くないアイディア
   だったんだけど、有効な変更だとは思えなかった。
2.多少台詞まわしを変えて、小ネタを挟んだ。
   日常茶飯事、興味津々の読み違えとか。強引すぎて全然笑えないって。
   酔っぱらった上戸の台詞とか結構独特で面白かったけど、
   あれは原作のままだし。
3.乳もみシーンを追加した。
   カタルシスのないお話なので終盤を無理矢理盛り上げるためのエピソード。
   アイドル映画的には悪くないとは思うけど、うまく機能してるとはお世辞
   にも言えない。

総じてうまいことやったなぁと思わせる部分はあまりなかったです。
ちなみに原作読む前に映画を観ました。

●最初から最後まで非現実的

人気がなくやたら綺麗で現実感のない派手なマンション。
インテリアも原色系でデザイン重視のモノが並ぶ。
途中で入る上戸の妄想と区別がつかないぐらいずっと妄想の
世界の中みたい。上戸の髪型乱れないし、ラストシーンでも
ゴミ捨て場のゴミさえ綺麗だった。音楽も含めとにかく現実感を拒否し続ける。
別に非現実的な世界を表現するのは良いのだけど、だったら
最初と最後は現実を表現しなくちゃ駄目なんじゃないだろうか。
非現実を通り抜けてまた現実に戻って行くから意味があるわけで、
最初から最後まで非現実世界では、ただの妄想で終わってしまう。
乳もみなんかで盛り上げなくても、この描写だけで主人公の心情も
描写できて一石二鳥だと思うのだけど。
原作だと閉塞感がある高校生活を短いながらも表現していて
いるんだけど、そういうパートが映画だと唯一最初の歩調が皆一緒の登校風景ぐらい。
その登校風景のシーンもリタ・アイオウタを使ってしまっているから
最初から最後までのっぺりした印象を与えてしまう。

●上戸のアイドル映画としてはそこそこ

なんだかんだいってマーケット的にはアイドル映画なので(笑)
上戸のビジュアルは最初から最後まで徹底的に作りこまれているし、
PG-12でいいのか?というぐらい卑猥な言葉を連呼。
ゴミ捨て場のシーンはこれでもかと長回しして、パンチラとおぼしき
シーンまで大サービス。最後は神木に乳まで触らせてるわけです。
ディープなファンだと激怒しかねない内容ですが、そこそこの
ファン程度なら、結構楽しめる内容なのではないかと。
よって映画としては良い出来じゃないですが、ある意味では目的
はそれなりに達成されているので、これはこれで可・・・なのか?(^^;

●すっかり忘れていたキャスト評

上戸も神木も健闘してると思う。
でも、いかんせん他がいかんともし難いため埋没。もったいない。

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Thursday, December 30, 2004

『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ!夕陽のカスカベボーイズ』(VHS)★★

blogの方でクレしんの感想書くのは初めてかな。
なんでクレしんなんだよぉ~と思った方は騙されたと思って試しに
「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦」
あたりをレンタルしてみてください。話しはそれからってことで。

『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ!夕陽のカスカベボーイズ』★★

kasukabeboys

原監督から水島監督へ移行しての2作目。
前作ヤキニクロード同様、子供向けシフトは相変わらず。
戦国やオトナのような感動巨編を期待してはいけない。
しかもかつての子供向けクレしんと比べてもこの映画は面白くない。
ブタのヒヅメ等の過去作の方が圧倒的に面白かった。
次回からはTVシリーズも担当しているムトウユージ監督にバトンタッチするため、
ここで映画クレしんは一つの区切りとなる。

監督/水島努
脚本/水島努
原作/臼井儀人
絵コンテ/水島努、原恵一
作画監督/原勝徳、大森孝敏、針金屋英郎、間々田益男
音楽/荒川敏行、宮崎慎二
出演/矢島晶子、ならはしみき、藤原啓治、こおろぎさとみ、真柴摩利、林玉緒、一龍斎貞友、佐藤智恵、斎藤彩夏、村松康雄、長嶝高士、小林修、大塚周夫、内海賢二、小林清志

 
 
 
 
 
<以下ネタバレ>
 
 
 
 
 
●西部劇を舞台にしたのに・・・

なんで西部劇の世界に紛れ込んだのに、オパンツで戦隊化するのかが意味わからん。
ラスボスが巨大ロボットってなんだよと。
クレしん的不条理はもちろん全然かまわないのだが、設定を活かしたシーンは
最低限入れて欲しいし、今までの映画はそれなりに入っていたはず。
西部劇を使うのだったら早撃ちとか西部劇っぽいパートは欲しかった。
今回は全体的にお子さま向けに内容を自粛した香りが強すぎた。
それにしたってクレしんは基本的になんでもありなのだから、
銃の代わりぐらいどうとでもなりそうなもんだしなあ。
少なくともオパンツで戦隊化したり、巨大ロボットが出てきたりするよりは
全然無理なく盛り込めそう。西部劇以外でも徐々に記憶が失われいく
だとか、いろいろ面白そうな設定はたくさんあったのに、どれも有効活用されて
いるとはいえず、物足りなさ満点だった。

●全体的に貧弱な内容

ファミリー&コメディがクレしんの根っこなわけだが、それも弱かった。
今回は野原家よりは防衛隊がメインの話だったが、それぞれのキャラに
見せ場もあまりないし、団結するシーンも弱い。
コメディ部分も一番面白いのが冒頭のリアル鬼ごっこだし、
お子さま向けのハチャメチャシーンもパッとしない出来だった。
アクションシーンも面白くない。そういえば、今回ケツ出さなかったような・・・
ケツが出ないしんちゃんは、やっぱ物足りない。
感情の起伏も従来のシリーズに比べて物足りなかった。
戦国やオトナ帝国を除いても、ぶりぶり左右衛門で泣かせたり、
しんちゃんの頑張りで泣かせたりと毎回そういった落としどころは
心得ていたしんちゃんだったのだが、今回は良くなかった。
ヒロインが実は映画の中の登場人物だったなんてところは、
まさにこの見せ場だったはずなのだが、全然響いてこなかった。
別れるまでのシーンも、別れたあとのシーンも描き方甘いから
どうにもならない。シチュエーションだけでどうにかなるもんではなく、
それこそ演出力の勝負なのだが、本当になっちゃいなかった。

●実はオタク向け?

登場する最重要脇キャラ、レンタルビデオ屋店主オヤジはオタクキャラで、
「自分で言うのはいいけど、人からオタクと言われるのは嫌」
などとのたまうし、女好き(女子高生以上)と常に言い続けてきた
しんちゃんも中学生ヒロインに手を出してしまったのである。
しかもしんちゃん自身が「おいらは中学生に手を出すようなロリコンじゃない!」
と否定するあたりもなんだかなぁという気はした(笑)

●次回作「クレヨンしんちゃん 伝説を呼ぶブリブリ3分ポッキリ大進撃」

監督がムトウユージ(現行のTVシリーズも担当)に変わるので、
かなり様変わりするのではないかと思う。
感動巨編復活は期待できそうにない。

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Wednesday, December 29, 2004

『青い車』(映画館)★★

『青い車』★★

bluemobile

あらすじ的には予告編で十分なんじゃないか。
というか予告編の方が無駄がなく良くできてるぐらいだ。
大決壊寸前の脚本、いや決壊する体積もないような脚本なのだが、
それをギリギリのところで繕うキャスト達・・・という構図の映画。
出演者のファン&サニーデイ曽我部好きとかじゃないならやめとくのが無難。

監督/奥原浩志
脚本/奥原浩志、向井康介
原作/よしもとよしとも  『青い車』
撮影/斉藤幸一
音楽/曽我部恵一
出演/ARATA、宮崎あおい、麻生久美子、田口トモロヲ、水橋研二、太田千晶、佐藤智幸、上間常弘、曽我部恵一
 
 
 
 
 
<以下ネタバレ>
 
 
 
 
 
●この映画は何を目指していたのか?
 
予告編がこれだけ映画の後半部分を多用されて作られているのは珍しい。
ほとんどがアケミ(麻生)が死んだあとのシーンで構成されている。
おそらくラスト10分ぐらいのところばかりを予告編に使ったことになる。
普通の予告編ならこんなことはやらないが、この映画の予告編は
それをやってしまっている。

奥原監督はインタビューでこう答えている。
「原作はいろんなことが起こった顛末の話で、逆に映画はなぜこういうことに
なったのか、ということをやった。」
原作はまだ未読なのだが、どうやら原作は姉ちゃんが死んだあと、
残された二人の微妙な心情を描いた作品らしいのだ。

そして出来上がった映画がこうだった。
”なぜこういうことになったのか”をひたすら描き、こういうことになったその後
はほとんど描かずに映画は終了してしまう。
原作云々を抜きで単純に映画一本の脚本として考えた場合、
アケミが死んだその後の二人の心情の掘り下げこそが、
一番見応えが出てくるはずなのに、それはしていない。
できなかったのか、しなかったのかは定かではないが、とにかくそれはされていない。
結果、あらすじとしてなんとなくすっきりしないものが残ってしまった。

事件のその後を入れることは時間的にも問題なく可能であったろうし、
そうしたオーソドックスな映画の方がむしろ作りやすいだろう。
そこをあえてこういう形にしたその理由としてしっくりくるのは、
”現代の若者の乾いた感じを表現し、強調したかった”といったあたりになるだろう。
原作の主題を考えると、納得できる主張ではある。

しかしそうなると今度は劇中のいろいろな表現が引っかかってくる。
なんとなくサラリーマン殴ってみたり、リストカットしてみたり、たびたび
出てくるリチオの妄想などがどう考えても、そうした空気感を表現するには
あまりに安っぽかったり、的はずれな表現なのではないだろうかと。
あらすじとしても、ラストでまるで自分と同じようにトラウマを抱えてしまった
少女を見つけ、そこに居場所を見つけたかのような表現も単純すぎるのではないか。
そんなわけで見てる途中であらすじではなく、そうした空気感を読みとる
見方をしていた人にも、やはりすっきりしない感じを残してしまうのではないかと思う。

結局お話としての面白さも、空気感を出すという部分もどっちも成立しきっていない。
冷め切っているわけでもなく、熱いわけでもないという微妙な温度を表現した
というよりは、単に中途半端な映画になってしまったという感じだ。
 
 
 
抱きしめたかったのに
ほんとうは泣きたかったのに
僕たちはどうすることもできなくて・・・
今ようやく気が付いた
どれほど大切な人だったのか
 
ただ、どうしようもなく、好きでした。
 
 
 
このキャッチを表現できているとはとても言えないと思う。
この映画は軸が定まっていない。
 
 
●麻生久美子、そして宮崎あおい

とまあちょっと真面目ぶった話しは終わり。
以下映画女優界のエース二人の話を、やや下世話に。

まずこの二人の映画の中での扱いの差が凄い。
宮崎あおいはワンショットやアップのカットが多数あったが、
麻生久美子にはほとんどなかった。
ビジュアル的に麻生がそうしたシーンに耐えられないなどということは
決してないわけで、麻生ファン的には激怒もんだろう。
それでも死んでるカットは麻生のフォトジェニックぶりがいかんなく発揮
されていたし、ぎりぎり見せ場は作った。
ちょっと上の話題に戻ると、事の顛末の前を描いているはずなのに、
結局アケミ(麻生久美子)が物語の装置としての機能しか求められてない。
扱いが軽すぎる。前日談として掘り下げるならもっと麻生久美子の心情に
迫るべきなのに、あくまでスタンスはARATA×宮崎あおい。
やっぱりもうちょっと麻生ファンは怒るべきかも。
この程度の描き方なら、なおさら中盤でアケミにはさっさと死んでもらって
その後を描くべきだった。

麻生久美子についてはこの辺にして、宮崎あおい。
なんかラストのドライブシーン以降、妙に顔が太ってねぇ?(笑)
トラウマを抱えてストレス太りという役作りですか、そうですか。
まあそんなことは実際は些細なことです。もっと気になったことは
ついに一つ目のピークを越えてしまったかもということ。
もっともInvitationとかのグラビアを見る限りでは、二つ目のピークも
ちょっとわかりづらいかもしれないけどちゃんとありそうなので、
今後もそれなりに期待できるのかなぁとは思う。
以上、ホント一部の人にしか理解できないお話でした、はい。

●唯一前向きに評価出来るポイント

音楽だけはまともだった。
(ただしこれインストール観た後書いているわけで、インストールの感想は後日)

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Sunday, October 31, 2004

『恋の門』(映画館)★★

今年、既に★4つ以上を6本もつけてしまっている。
多少偏愛が混じっていることは認めるけど、それでも今まで★4以上は
年に1,2本出れば良かったわけで、今年は邦画オタとしては
夢のような日々を過ごさせてもらっている。
先週は二日連続で今年度ナンバー1作品ほぼ確定な「下妻物語」の
を観に行ってきた。基本的にただ券なので、観客も公開時とは
違い年齢層高め。それでも、かなり笑いがおこっていたし、
上映後のまわりの反応すこぶる良く、この作品の完成度は
本当に高いなと再確認できた。

そんなダブル下妻のあと、「恋の門」を鑑賞。
どうもその中途半端さに今ひとつ乗っていけなかった・・・


『恋の門』★★

koinomon

オタ描写でニヤリとする部分はあるんだけど、それだけの映画。
本筋はしっかりしてないし、もう一つ小ネタも突き抜けていない。
もっとおバカ系娯楽作品を期待していただけに、いまひとつ。
ただネタの情報量はかなりのものなので、DVDで一時停止したり
巻き戻ししながら観れば、そのネタ元が理解できる人には楽しいかも。

キャストは酒井若菜がキレキレなので、それ目当てなら観る価値あり。
あとやたらカメオ出演で豪華で面白い人がたくさん出ているので、
そのちょい役の人が誰なのかがわかる人には、キャストだけで
楽しめる要素は十分ある。

まあ映画にストーリー性を強く求める人は観ない方がいいでしょう。

監督/松尾スズキ
脚本/松尾スズキ
原作/羽生生純
撮影/福本淳
キャスト/松田龍平、酒井若菜、松尾スズキ、忌野清志郎、小島聖、塚本晋也、小日向文世、平泉成、大竹しのぶ、大竹まこと、筒井真理子、尾美としのり、庵野秀明、安野モヨコ、しりあがり寿、内田春菊、平岩紙、片桐はいり、田辺誠一、市川染五郎、皆川猿時、村杉蝉之介、三池崇史
 
 
 
 
 
<以下多少ネタバレ>
 
 
 
 
 
 

「走って逃げた、大人なのに」とか「シャッターチャンスしかなかったよ」など
ネタはなかなか面白いとこあるんだけど、後半はそのネタも切れ味が衰えるし、
ストーリー、テンポ共に停滞してしまった。
ラストシーンが突然アニメワールドのごとき展開をみせるので、
ああいう作り方するなら終盤はもっとハイテンションで
乗り切ってしまった方が良かった。
無理に出来もしない心情描写をいれようとして、失敗してしまった感じ。
この作りじゃ観ている人の大半が主役二人に感情移入できるわけもないし、
小日向文世のあのシーンをいれた時点で、ストーリー的にも
ほぼ決壊しているのだから、ネタ映画に徹した方が良かった。
結局どっちつかずの映画になってしまった印象。

シーンの繋ぎ方もあまりよくなかった。エピソードの流れはジェットコースター
ストーリーのような感じなのに、見せ方が下手だから全然そんな風には
感じられないのが残念。
ゲロシーンとか同じアクションを多用するのなら、もっとベタに天丼として使って、
場面転換に活かしてしまえばいいのにね。
ゲロと同様に多用されたキスシーンにいたっては、テンポを悪くした
最大の要因とも言える。キスシーン多用は松尾スズキが酒井若菜とキス
するための緩衝剤という見方もできるし。
正直あのシーンはむかついた(笑)
多数あるエロっぽいシーンはもう少し工夫が欲しかった。
小島聖のぶっとび感は凄かったんだけどさ(^^;

キャストは酒井若菜につきる。
やっぱこういう濃いキャラはとんでもなく上手い。チャンネルの切り替えが
絶妙なんだよね。これ観て酒井若菜かわいいと思った奴多数とみた(笑)
あとはカメオ出演陣の豪華さ。庵野夫妻とか並のサブカル好きにも理解できる
人も出てくるので、結構楽しめるはず。エキストラとしてのカメオ出演でなく、
どの人もちゃんと見せ場ありのカメオ出演なので、お腹いっぱいです。

全体的にみて、ディテールにこだわって作っているのは伝わってきただけにおしい。
マジアニオタの人が観れば、ツッコミどころ満載でそれはそれで楽しいだろうし、
サブカル好きにはニヤリとするシーン多いだろうし、素人さんが観ればオタクの
異様さがまあたぶん面白いだろうし(^^;
ホントもっと突き抜けたおバカネタ映画に仕上げてしまって欲しかった。
そうすれば最強のバカオタ映画として伝説になっていたかもしれない。


chop.jpg


この映画パンフ2種類あんだよね。
これはその片方で映画の中に出てくる3人の応募したマンガ。
400円なので、この映画を象徴するネタパンフとして買ってみるのも良し。
ただ400円でもやっぱり十分高い。
なんで映画のパンフはこんなに高いんだろ。300円ぐらいにすれば
今の倍以上売れたりしないんかなぁ。
600、700円じゃよほど気に入らないと、買う気がしない。
1800円払って、700円のパンフ買ったら2500円でしょ。
あり得ないよな、ホント。

とりあえず自分ルールとして、パンフはよほどの事がない限り
買わないと心に誓っております。
これとあわせて未だ4冊しか我が家にはパンフはないはず。

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Friday, August 06, 2004

『スチームボーイ』(映画館)★★

『スチームボーイ』★★

スチームボーイ 通常版

確かに映像は悪くない。風景の描き込みなどは素晴らしい。
ただ、ストーリー、人物描写、声優陣はお粗末な出来。
冒険モノ+強大な力は使いようという教訓をアニメでみたいなら、
ラピュタとかあの辺の宮崎アニメでも見ておけば間違いないだろう。

監督:大友克洋
キャスト:鈴木杏、小西真奈美、中村嘉葎雄、津嘉山正種、児玉清、沢村一樹、斉藤暁、寺島進


(以下ネタバレあり)


観賞後、どうもスカッとしない。
原因は冒険活劇でありながら、冒険活劇の要素を満たしていなかったこと。
冒険活劇に必要なのは魅力的なキャラクターと、そのキャラと共にハラハラドキドキ
できるストーリー。この映画にはそのどちらもが欠けていたように思う。

まず魅力的なキャラクターが全然登場しない。
ほとんどのキャラクターが薄っぺらく描かれており、感情移入するのが難しい。
主人公なんて一番魅力的であってしかるべきなのに、
見終わった時に何も印象に残ってない。
なんかオヤジとじいさんの間をいったりきたりしてたなぁ~程度。
一応勇敢だし、それなりに知識や実力もあるんだけど、
そういう部分が全然目立ってこない。
結局振り幅が不足しているのだと思う。こういう出来事があったから、
こいつはこういう事をしたんだという裏付けが全然ないし、
追いつめられて決断したとかそういう描写も皆無ではどうしようもない。

主役が薄い場合脇キャラが凄い個性を放っていたりするもんだけど、
この映画にはそれもない。一番キャラクターが濃い主人公の父でさえも、
なんとも中途半端なマッドサイエンティスト。
敵なようで敵じゃない。いっそダースベーダー級にして、
息子と戦うぐらいの気概が欲しい(笑)
もちろん良いオヤジっぷりを見せてくれるわけでもない。
息子が銃でバンバン撃たれたりしているのに、全然気にする風でもなかったし。
やっぱり息子をかばって死ぬぐらいの気概が欲しい(笑)
もっとも主人公もなかなかひどい奴で、ラストシーンで大惨事の
真っ直中に父と祖父を置いてきておいて「二人はきっと大丈夫さ!」
などと楽観的にのたまい、探しに行く気配すらなかったし。
祖父も祖父で薄っぺらな科学の理想を語り、
挙げ句メリーゴーランドで失笑されるだけだし、
どうも親子三代揃って、思いやりが欠落したただの科学バカらしい。

最後の望みであったヒロインも、トドメを刺してくれる酷い出来。
主人公と同年代で登場する唯一のキャラなんだから、
最低でも徐々に友情が芽生えるぐらいの展開は欲しいのに、
心を通わせるシーンも特になく、なんとなーく行動を共にするだけという
いてもいなくても良いキャラに仕上がってる。
ぶっちゃけいなくても話が成立するヒロインって何だよ(笑)

なんでこんなことになったのか考えると、やっぱりスチームボールの設定、
使い方が駄目っぽい。スチームボールの重要性が今ひとつ感じ取れないから、
それを持って逃げる主人公の行動も説得力がないし、
必死に狙う側もどうでも良くなる。だいたいボールが3つもあるうえに、
別にそれが手に入ったことで戦局が大きく変わることもないって
どういうことだよ。スチームボールを使ってるスチーム城より、
他の兵器の方が魅力的ってどういうことだよ。
スチーム城のアピールがホントに弱すぎ。
ロンドンに実は凄い被害を与えているのに、市民が大損害を受けてる
描写がほとんどないから、その凄惨さもわからない。
人がゴミのようだ!とまではいかなくても、
せめて逃げまどうシーンぐらいは入れて欲しかった。
祖父の「悪魔の発明じゃ!」が全然リアルに響かないじゃん。

まあそういうわけで、脚本は全くしまりがなく、どうしようもない出来です。
物語の根底をなすべき考え方が曖昧だから、全てが曖昧。
冒険活劇も、科学の功罪というテーマもどっちも成立せず、
壮大なただの親子喧嘩で終わるというある意味おっそろしいお話です(笑)

どうも続編を作る可能性大らしいですが、
まずはジャンプでも読んで、「友情、努力、勝利」の三原則を頭にたたき込み、
それから脚本を書いていただきたい(^^;
次回作はせめて明確な敵か、救うべき対象を提示して
カタルシスぐらいは演出してほしい。そういう基本を押さえた上で、
科学の功罪だとかテーマを盛り込めばいいわけだし。
ジブリのやり方をまねしても、のせるテーマに大友色は出せるわけだしね。
良いモノは素直に真似しちゃえばいいじゃん(・∀・)

追記:
声優はやっぱりプロに任した方がいい。
最近では話題作りの為に役者をキャスティングがするのは
珍しくないけど、このレベルのキャスティングじゃあんまし効果ないだろ(笑)
だからといってキムタクを起用するような真似はやめてください(-.-;)

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