Sunday, February 12, 2006

1日4本映画館で映画を観るとどうなるか?『春の居場所』→『サイレン』→『燃ゆるとき』→『男たちの大和』

答え=意外とハイテンション

もっともこれは僕の映画集中力が下がってきてるせいもある。
以前はもっと集中して映画を観ていた。
映画館に行くことそのものがもっと特別であった頃は、
一回観ただけでも映画の細部まで記憶できていたものだ。

つまりそれくらい集中して観ていたわけで、
ハイテンションなんてことはなく、もうぐったりだった。
1日3本なんて見たら頭痛は確実で、
ナロンエースは僕にとって映画館に行くときには
なくてはならないお供だったのである。

もちろん今でもナロンエースのお世話にはよくなるのだが、
以前よりはだいぶ減った気がする。
最近は妙な鑑賞体力がついたという面もあったりするけど。
舞台挨拶に行くようになってから、昔は決して座らなかった
鑑賞するのにベターとさえ言えない席で鑑賞する機会が多い。
昔は後方ど真ん中を何がなんでも死守していたものだが、
本当に妙な体力がついてしまった。

東京国際映画祭で体験した六本木ヒルズ7番スクリーン最前列
なんかは脅威ポジションで、あれを経験すれば大抵の
ポジションはこなせる気がするw
鑑賞ポジションの限界に挑戦したい人は是非どうぞ。
アイマックス+見上げる席は間違いなく通常の3倍疲れます。


何はともあれ1日4本映画館鑑賞の自己新記録を樹立。
建国記念日に公開になった邦画を公開日に一気に制圧できたし、
ホントは最初の2本でやめるところを、男臭い映画を観て修正してこいと
背中を押してくれた友人には微妙に感謝したい。


●1本目
『春の居場所』★★☆
春の居場所

鷺澤萌の絶筆となった作品を映画化。
高校2年の冬を題材にした青春映画。

監督:秋原正俊
出演:堀北真希 、細山田隆人 、柳沢なな 、城咲仁 、佐藤藍子

だらだらとした小品青春映画である。
前半は鷺澤萌の繊細さが活きているシーンがそれなりにあり悪くないが、
終盤はその空気を維持できず、失速感が大きい。
またカメラの画質がやたら荒かったり、ロケーションの細部の
こだわりが不足していたりと、予算ない感が出過ぎている。
堀北真希などキャストの素材はそれなりであったし、
いくつか良いシーンもあっただけに、もったいない。

まあ堀北真希が大人になったら佐藤藍子ってのは、
大人になったら内山理名(「深紅」)よりはマシだったかもしれない。

●2本目
『サイレン』★★☆
サイレン

同名ゲームを題材に「ケイゾク」「トリック」の堤幸彦が監督した新感覚スリラー。
29年前に謎の失踪事件が起きた島で怪現象に巻き込まれていく話。

監督:堤幸彦
出演:市川由衣 、森本レオ 、田中直樹 、阿部寛 、西田尚美

ホラー映画は大っ嫌いな僕が勇気を振り絞り鑑賞。
堤幸彦が撮るホラーってどんなものか?という興味を持ってみたのだけど、
正直たいしたことなかった。
やってることは安いホラーと一緒で、深みのあるじわじわとした怖さはない。
映像的にびっくりはさせられるんだけど、あくまで直接的な表現。
ウリであった5.1chを駆使した立体的な音による恐怖は、正直感じきれなかった。
あまり中央の座席ではなかったということもあったかもしれないが、
それを確かめるためだけにもう一度観る気にはなれない、そういう映画。
終盤の展開は、納得はできないが、やられた!とは一応思えるぐらいの
大ざっぱながら伏線はあるので、脚本はそれなりに評価したいと思う。

●3本目
『燃ゆるとき THE EXCELLENT COMPANY』★★☆
サイレン

高杉良のマルちゃんを題材にした同名小説が原作。
アメリカ進出を果たした「マルちゃん」を襲うアメリカの荒波に
日本的経営手法で戦いを挑む話。

監督:細野辰興
出演:中井貴一 、大塚寧々 、長谷川初範 、中村育二 、津川雅彦

1000円の前売り券で、劇場窓口でマルちゃんの250円するカップラーメンを
もらったので、実質750円で鑑賞できた素晴らしく経済的な映画。
内容は大前研一なんかが喜びそうな21世紀サラリーマンどもよ目覚めよ!
みたいな話で、昔はビジネスパーソンたちは次々とアメリカに突っ込んで
いったんだよ。今ちゃんと中国とかに突っ込んでいけてる?って具合。
全体的にやぼったーい演出が多いし、とにかく事象が唐突に起こり、
それに対症療法みたいなストーリー展開なので、全体的な流れからくる
面白みと盛り上げが足りない。簡単に言うと古い邦画スタイル。
今のやつらに送るメッセージ映画としてはやや不適な演出だとは
思うが、もちろん興行ターゲットはそっちじゃないので、これは正しい
スタイルなのかもしれない。たまにはこんな映画を、おじさんたちに囲まれて
観るのも経験としては良い。

●4本目
『男たちの大和/YAMATO』★★★
男たちの大和

言わずと知れた戦艦大和を巡る乗務員たちとその家族の物語。

監督:佐藤純彌
出演:反町隆史 、中村獅童 、鈴木京香 、松山ケンイチ 、渡辺大

よもやこんな大ヒットになるとは思っていなかった。だって東映だもん。
ヒットしたって言ってもやっぱり東映なので、内容はアレに違いないと
思っていたのだが、いよいよここまでロングランとなると、いったい
どんなことになっているのか観ざるを得なかった。

結論から言うと、予想よりはるかに良くできた映画だった。
何より大和のセットが素晴らしく、終盤の戦闘シーンはこれまでの
東映のショボショボ映画のイメージを払拭するだけの
気合い溢れる映像に仕上がっていた。
感動作との評判に関しては、まあそりゃ人が死ぬ話どころか、
人が死にに行く話なわけで、これで感動させられないなら、
そんな監督は廃業したほうがいい。見せるべきはそれにプラスして
積み上げられる要素であったはずだが、残念ながらその領域には
達していなかった。

やっぱりクソみたいなテロップとか、うざったい音楽とか、
やっぱりやってしまう古くさい演出手法の数々が使われるあたりは、
流石東映クオリティですなと感心。
今はまだこれでやっていけるだろうけど、そのうちこの会社も
大艦巨砲主義と同じように滅び去っていくんじゃないだろうか。
この映画のヒットに満足して、また同じ場所に留まろうとするんじゃないの?
大和のように時代の犠牲になれるならばまだ良いけど、
何も残さずただ消滅しそうで怖い。


シネマサンシャインで観た「燃ゆるとき」「男たち大和」は共に東映配給。
昭和臭い映画を観たければ東映の映画を観ておけば間違いない。
「春の居場所」の舞台挨拶で堀北にふやけ、「サイレン」で市川由衣萌え
していた僕も、東映様の漢映画を2連続で観たことで、だいぶ漢になれました。
漢なら東映の映画を観るべし!

「2005年の東映配給作一覧」

北の零年
劇場版AIR
ONE PIECE ワンピース THE MOVIE オマツリ男爵と秘密の島
映画 ふたりはプリキュア マックスハート
四日間の奇蹟
フライ,ダディ,フライ
劇場版 金色のガッシュベル!! メカバルカンの来襲
劇場版 仮面ライダー響鬼(ヒビキ)と7人の戦鬼
魔法戦隊マジレンジャー THE MOVIE インフェルシアの花嫁
深紅
鳶がクルリと
まだまだあぶない刑事
同じ月を見ている
映画 ふたりはプリキュア マックスハート2 雪空のともだち
男たちの大和/YAMATO

やっぱ東映すげーな、おいw
ぷりてぃーできゅあきゅあしながらマジレンジャーとは
流石に僕もついていけません。

| | Comments (41) | TrackBack (1)

Sunday, September 25, 2005

『FINAL FANTASY 7 ADVENT CHILDREN』(DVD)★★★

FF7AC

あの頃はもっと余裕で徹夜できたような気がする。
発売日から徹夜でやりこみ、まわりの連中と早解き勝負をしていた。
それだけのめり込ませる要素がこのゲームにはあった。

新ハードPSで技術的進化を遂げており、この時のエポックメイキングっぷりは
ゲーム業界としては過去最大のものであった。
そうした技術がもたらした視覚的な衝撃と共に、ヒロインのアレとか、主人公が
実はアレだとか荒削りながら、力のあるプロットを備えていた為、FF7は今でも
多くのプレイヤーの記憶に残っている。

要するにファンが多くて、設定がいろいろと広げやすいものであったりと、
確実に数字が計算できるコンテンツであるということ。そういうもんが死ぬほど
欲しい同業界的には、今飛びつかないで、いつ飛びつく?という題材なわけです。

これは別に批判じゃなくて、こっちも面白いのかどうかある程度計算できるもんに
投資したいし、素晴らしいものを検索、発掘するほどの余力もないわけで、
こういう企画には素直に乗って行っちゃうわけです。

そんなわけでターゲットはあくまでもFF7をやった人。
冒頭にも「かつて、この世界を愛し この世界の仲間達と共に過ごした人々へ、
再び集いしこのときを捧ぐ。」と出る。
とまあファンムービーなんだけど、このグラフィックの美しさは、FF7をやって
いない人でも、一見の価値はある。
あとあのFFMOVIEを観てしまった人は、フルCG描写の方向性を
再確認するうえで、観ておいた方がいいと思われる。

監督/野村哲也
脚本/野島一成
音楽/植松伸夫
出演/櫻井孝宏、伊藤歩、森久保祥太郎、坂本真綾、森川智之
 
 
 
 
 
<以下ネタバレ>
 
 
 
 
 

●160億円のアレが残した傷跡

FF、フルCG、映像作品とくれば、「FINAL FANTASY MOVIE」(以下アレ)
という記憶が掘り起こされ、その記憶は失笑と結びつくというのが、
今までのシナプス構造だったわけだが、その忌まわしき記憶とも
これにておさらばできそうだ。

もっともアレとFF7ACはCGの方向性が全く違う。
アレはCGで人間を表現し、ハリウッド映画を思いっきり意識しまくった
映画であった。CGさえありゃもう役者はいらないでしょという挑発的な作品で、
実際アメリカの俳優協会にも白い目で見られたとかいう話も当時は聞いた。
しかし、汗もかかない、表情も貧弱、どこからともなく漂う嘘くささで
満ちたアレは、そんな白い目で見る必要もなく、やっぱCGはCGだよなっ
という出来映えだったわけだ。

そして今回のFF7AC。こっちは思いっきりアニメの延長上にあるCG映画だった。
登場人物の肌の質感に徹底してこだわり、やたらシミだのシワだのに
力入れまくりだったアレと比べれば一目瞭然である。エアリスが坂本真綾って
のはちっとやり過ぎじゃねえ?と思うぐらいアニメの延長上にある。

とまあ概ね今回は好意的に捉えているが、やはり脚本は荒いし、単調だった。
ファンには通用する内容だが、一般的に観たら、アクションばっかだし、
そのパターンもバリエーションが少なく、終盤はやや飽きがくる。
それでも初週で40万枚ぐらい売れてるらしい。

こうなるとまた映像作品でヒットを狙いたくなるんだろうが、今のままでは難しい。
やはり脚本をもっと作り込まないと、すぐに飽きられてしまう。
今回の身の丈にあった意味のあるCGの使い方は、なかなか将来性を
感じさせただけに、もっと真剣に取り組んでもいいんじゃないだろうか。
自前でいろいろメディアミックスもできるのだからさ。
もっともFF7ACを観てファンが最も熱望するのは、FF7の美麗CGによる
リメイクだとは思うけど。僕もPS3でリメイクFF7ができるなら買いたいと本気で
思ったどころか、FF7をPSでもう一回やりたいぐらい思った。
ファンの要望には比較的応えてきている同社なだけに、たぶんリメイクする
だろうなと期待している。

ちなみに160億ってのはアレの制作費である。正確には164億だったかな。
「ここまでやるならもう実写でいいじゃん」「なぜガイア理論にこだわるの?」
「FFのタイトル関係ないじゃん」「もっとファンタジーっぽいのがいい」などと
散々な目にあったが、今となって考えるとあれは愛すべき失敗だったのかも
などと思ってしまう。そういえばガイア理論に関してはFF7もそうなんだよな。
相当好きなんだね、ガイア理論が。

ファイナルファンタジーVII アドベントチルドレン (通常版)
もう通常版しかないけど、通常版も初回限定も大して変わらないので。
ただADVENT PIECES:LIMITEDのみ収録のOVA
「LAST ORDER FINAL FANTASY VII」はちょっと観たかったかな・・・

| | Comments (38) | TrackBack (0)

Saturday, March 19, 2005

『いぬのえいが』(映画館)★★★

おいおい3月初エントリーかよ、やべーよ。
3月入ってからB型インフルエンザ→無理して悪化→直ったと思ったら風邪
→A型インフルエンザ→治ったと思ったら花粉症全開&風邪って。
それに加えて激務続き。察してよ。だからホントは試写会で観たのに、
公開日に観てきました!やる気みせました!っていうことにしてもいいでしょ?
とか言ったら駄目とか言われました。ひどいです。鬼です。
ローレライの感想もさっさと書けとか言われました。


『いぬのえいが』(映画館)★★★

inunoeiga

とりあえず、僕は別に犬は好きじゃない。
中学生の頃だったか、上野動物園に観察授業に行った帰り道に、
どうもケモノ臭さが染みついていたのがまずかったのか、
犬に追っかけられたことあったし。つまりむしろ嫌いという部類に入る勢い。
自分のことで手一杯なのに、動物の責任なんか取れるわきゃないので、
飼いたいなどと思ったことも一度もない。
そんな僕が、犬好きをターゲットに企画されたであろうこの映画を観てきて、
好き勝手言っちゃってるということをご理解のうえでお読みいただきたい。

今回、実は試写会にいってきた。人生初試写会。
こんなに映画観に行ってるのになんで試写会行かないの?
って感じるかもしれないけど、試写会は大抵映画館ではないところで
行われるから、映像音響共に劣悪だし、なにより混んでいる。
あと、やっぱ映画は金を払って観なくちゃいけないよ。
金払ってるからこそ、文句を言う権利だって発生するんだから。
嘘です、嘘つきました。本当は応募するのが面倒くさいからです。
試写会の券が勝手に送られてくるなら喜び勇んで参ります。
今回も友人の誘いということでもちろん応募なんぞしてません。

試写会にそこまで熱心に行きたいとは思わないってのは事実なんですけどね。
ただ、今回は都心の試写会の御利益って奴で舞台挨拶付き。
中村獅童と小西真奈美に会えました。試写会も悪くねえなってちと思った。
コニタンは流石に美しかったね。あまりの美しさになんか一瞬ボッと
のぼせた気がしたんだけど、ありゃただのインフルエンザの
予兆だったんですね。(゚∀゚)。

映画の内容は11本のショートストーリーを組み合わせたオムニバス形式。
まあ総じて思ったよりも良い出来でした。
時流なのか泣ける映画ですとか宣伝してやがったので、泣けよ系の映画かと
思っていたんだけど、エンターテインメント性の高い作品が多く、きっちりと
笑かしてくれました。ただ、やっぱり最後は泣かす系にシフトしてしまって、
全体としてのバランスを逸してしまった部分もあったので、なんとも惜しい感じもあり。
「いぬのえいが」なんていうタイトルで犬出まくりですから、マーケット的には
犬好きターゲットな感じですけど、別にいぬが好きじゃなくても十分楽しめる出来です。
ショートストーリーオムニバス系では良い出来の部類に入る映画かと思われます。
それなりにオススメです。

監督/犬童一心(ジョゼと虎と魚たち死に花)、黒田昌郎、祢津哲久、黒田秀樹、佐藤信介(LOVE SONG修羅雪姫)、永井聡、真田敦
脚本/佐藤信介、山田慶太、永井聡
出演/中村獅童、伊東美咲、天海祐希、小西真奈美、宮崎あおい、佐藤隆太、乙葉、荒川良々、川平慈英、佐野史郎、渡辺えり子、吉川ひなの、木村多江、清水美那、松岡璃奈子、石村良磨、管野莉央、戸田恵子、利重剛、田中要次、高橋克実、北村総一朗
 
 
 
 
 
<以下ネタバレ>
 
 
 
 
 

●11本それぞれの出来
11本のショートストーリーそれぞれを順番にサクッと

「A Dog's Life:good side」★★☆
オープニングのアニメ作品。どうということもなく、内容もいたって普通。
導入としては無難な落としどころではある。

「うちの子No.1」★★★
インパクト重視の「いぬのえいが」ワールドへの導入ストーリー。
ミュージカルというタッチはいいんだけど、カメラがあまり面白くない。
それでもショートストーリーらしく、ひなののビジュアルで落としたし、テーマ性なども
実質一番手としては手頃なので及第点。

「CMよ、どこへ行く」★★★★
全体的にも大きく影響を与えている秀作コメディ。
監督もCM業界の人なので、誇張されているとはいえ
悲哀もそこはかとなく感じられる(笑)
キャストも一番豪華な作り。なんといっても伊東美咲の使い方が絶妙。
正しき伊東美咲使用法ここにあり。海猫なんてやってる場合じゃないよね、まったく。

「ポチは待っていた/思い出」★★★☆
子役男子の部のエースが神木隆之介なら、子役女子の部エースは管野莉央です。
とか言い張ったりはしないけど、やっぱり売れっ子だけあって安定してるね。
(映画セカチューで柴咲の子供時代をやってた子)
石村良磨がぎこちないのは中村獅童の子役ってことで、むしろマッチしてる。
ストーリーとしてはありきたりだけど、郷愁感は悪くない。

「恋するコロ」★★★★
コロの声優に荒川良々を起用するというナイスキャストに感動したので、
おまけで★4つ。まあ造花のくだりなどなどネタも悪くないし、
演出も場面の切り替えが小気味よくて、リズム良く観ることができた。

「ポチは待っていた/唄う男」★★★
元宝塚スターの天海祐希とミュージカルスター?川平慈英による
これまたミュージカルテイストのコメディ。2本もミュージカルテイストがあるのは
ちょっと珍しい。内容は凡庸。ポチも無理矢理絡ませた感ありあり。
あと、時間軸的にこのポチとメインのポチとは同一犬じゃないんだよね?
基本ポチ関連は夢落ちだらけなので、こんなとこツッコミいれても
仕方がないのは重々承知しておりますけど。

「犬語」★★★☆
ナイス小品。短い時間で田中要次だけで落とす。
小休止クッション作品としてはベストに近い。
バウリンガルのこういう使い方許しちゃうメーカーの懐の深さもいい。

「ポチは待っていた/病院」★★★
キャストも地味だし、まったく持って地味な作品。
そして夢落ち。ビバ夢落ち?

「ポチは待っていた/空き地」★★★
この映画で一番盛り上がってもいいはずのストーリーなのだけど、
今ひとつ感たっぷりである。他のストーリーの前振り、映画全体の構成の面
での問題もある。そもそも「ポチシリーズ」は目立たなくても良い中庸を担う作品
だと解釈すればこれでいいのかなという気もする。でも、そうすると今度は
全体構成への不満がさらに増すんだけど、それはまた別の話。
そしてこれまた夢落ち。夢見がち。フィールドオブドリームスを思い出す画だった。

「A Dog's Life:bad side」★★☆
せっかく楽しくみてきたのに、終盤も終盤でストレートに説教臭いストーリーのご登場。
アニメでやっても説教臭さは変わらない。アニメを用いて、しかも比喩表現してるから
リアリズムがない分中途半端なので、いっそう性質が悪い。げんなり。

「ねえ、マリモ」★★
ラストを飾る作品。見終わったときにどっとため息。隣の宮崎あおいファンもため息。
はっきりいってひどい出来。映画のラストはその作品の全体の印象に大きく関わる。
こいつを最後に観せられたら、せっかくのエンターテインメントが台無しである。
別に最後に泣けよ系をもってきたのが悪いとか言ってるのではもちろんなく、
単純にストーリーも演出も酷いと思うだけ。ストーリーは犬を飼うことの
悲哀を描くのはいいとして、その安っぽい展開と最後のやっぱりまた飼いたいへの
つなぎ方が意味不明。というか犬の気持ちを勝手に代弁しているそのエゴイズムを
僕は受け入れることはできない。
犬好きの人がこの話をどう解釈するのかは実に興味深いところ。
あと演出もひどい。ずっと音声なしでテロップだけで展開する演出が本当にくどい。
CMで15秒とかの尺でやるのなら許せるやり方だけど、こんなに長々と使われては。
しかもやっと音声入ったと思ってからの演出も実に酷い。宮崎あおいが
こけたところとかありえない。僕には良いところを探すことができなかった作品。
でもまわりでは号泣してる人も多数いた。最後の最後で犬好きじゃないのが
裏目に出たらしいと思いこんでおく方が平和なのか。

●全体としての構成

全体的に観て、コメディテイストの作品はどれも完成度が高い。
一方でメインを構成すべきポチシリーズはどれも凡庸であり、
ラストを飾る泣けよ系作品の出来は酷い。
おかげで映画全体の印象を実体以上に悪くしてしまった気がする。
これは作品の並べ方で、十分改善できたのではないかと思う。

11作品を流れた順に、そのテイストを並べてみると
喜→笑→笑→懐→笑→笑→笑→しんみり→しんみり→説教→涙
となる。
徐々に悲しい方向に持って行って泣かすという
完全に泣ける映画ですよ形式になってしまっている。
終盤のしっとり系泣かす系作品の出来が良ければ、
この構成でもまったく問題なかったんだろうけど、
実際はコメディの方が圧勝の出来だったので、
なんとも失速感のあるバランスの悪い構成になってしまった。

特に「ねぇ、マリモ」は作品テイストも出来も浮きすぎているし、
オープニングアニメ「A Dog's Life:good side」の続きである
「A Dog's Life:bad side」が直前で流れるため、どう考えても
映画が一回終わってしまった感があった。事実「A Dog's Life:bad side」が
流れたとき席を立とうとした人多数。そりゃこの構成なら映画が終わったと
勘違いしてもまったくおかしくない。
構成としては「A Dog's Life:bad side」と「ねえ、マリモ」を「犬語」のあと
ぐらいにいれて、そのあとこの映画の中心ストーリーである
「ポチは待っていた/病院」「ポチは待っていた/空き地」で締めて、
最後に新たに三本目のアニメを「A Dog's Life:future side」とでも称して作成し、
楽しそうテイストで終われば良かったんじゃないかなと。
たとえオムニバス映画であっても、作品の順番で全体の印象は変わってしまう。
今回は特に「いぬ」という共通テーマがあっただけに、全体構成には
もう少しこだわっておくべきだったかもしれない。

| | Comments (20) | TrackBack (5)

Friday, January 28, 2005

『Jam Films S』(映画館)★★★

男子たるものを迫害し続けるレディースデー=水曜日に、
映画を1000円で見せてくれるシネアミューズにまたまた見参。
またも青アミュ(WEST)での鑑賞で、かなりシネアミューズ
行ってるのに、赤アミュで鑑賞したこと一度もない。
青アミュはやたらフラットな映画館で、スクリーンも思った以上に小さい。
普通の映画館のように、ボランチポジションはちっともベストポジション
じゃないので要注意。さっさと前から4列ぐらいまでに座らないと
凄く損した気分で映画を観る羽目になる。
最前列も全然あり。むしろ前の人の頭が邪魔にならないこと
確定なので、混んでいるときはベストに近い。
途中退出者が出るとスクリーンに人影でまくるしなあ。
これさえなけりゃかかる映画の種類といい、かなりお気に入りの
映画館なんだけど。

『Jam Films S』(映画館)★★★

jamfilmspost
ポスター買っちゃった¥500(B2)

”Jam Films”シリーズも第3弾。一応これで終了らしい。
このシリーズは日本映画の幅を広げる意味でも、もっと続けて
欲しかったんだけどなぁ。
「Jam Films」ではメジャーどころが普段できない作品を作って、
「Jam Films 2」では他業界からの参入を補助、そしてSではこれからの監督を育成。
一般映画では出来ない多様性を見せていただけに残念。

今回の「Jam Films S」のコンセプトは、1の7人の監督が推薦する
これから期待する7人の監督ということで、無名な人も混じっては
いるけど、基本的には推薦者の助監をやっている人などが多い。
結局内輪かと否定的に考える人もいるかもしれないけど、
今の日本映画で良い作品を撮っている監督の多くは、有名な監督の
助監をやってきた人ばかり。所謂クソ映画を撮っているのが、
助監経験もロクにないやつが大半なのは紛れもない事実なのである。

とはいえそんなこたぁ大半の鑑賞者にとっては二の次であって、
結局面白いのか面白くないのかってことなんだけど、全体的には
それなりのレベルだったと思う。監督が無名な分、キャストは有名
どころを集めることで補っているし、推薦者及び、推薦者の属するチーム
が大きく後押ししているので、なんじゃこりゃ?なんていう作品は一応ない。

7作品のジャンルバランスはまあまあ。一本ぐらいはツボにはまる作品が
あるとは思う。個人的にはもう一本ぐらいぶっ飛んだ感じのが欲しかったんだけど。
僕のオススメは「すべり台」。石原さとみの小学生っぷりもさることながら、
ストーリーのキレが抜群。

「Tuesday」(★★★)
監督/薗田賢次(凶気の桜
脚本/薗田賢次
撮影/平舘良隆
音楽/ZEEBRA
出演/ZEEBRA、岩堀せり、金井勇太、三城晃子、原章馬、味野和明日架
「HEAVEN SENT」(★★★)
監督/高津隆一
脚本/高津隆一
撮影/山神俊二
音楽/森野寅彦、矢野大介
出演/遠藤憲一、乙葉
「ブラウス」(★★☆)
監督/石川均(集団殺人クラブ
脚本/龍一朗
撮影/下元哲
音楽/神尾憲一
出演/小雪、大杉漣
「NEW HORIZON」(★★★)
監督/手島領
脚本/行定勲、手島領
撮影/福本淳
音楽/蓮実重臣
出演/綾瀬はるか
「すべり台」(★★★★)
監督/阿部雄一
脚本/元優
撮影/津田豊滋
音楽/いいのまさし
出演/石原さとみ、柄本時生、渡邊沙帆加、乃勢捷聖、山崎まさよし
「α」(★★)
監督/原田大三郎
脚本/福田卓郎
撮影/鰺坂輝国
音楽/スネオヘアー
出演/内山理名、スネオヘアー
「スーツ -suit-」(★★☆)
監督/浜本正機(ekiden[駅伝]
脚本/飯田譲治
撮影/小林嘉弘
音楽/NOISY FISHERMAN
出演/藤木直人、小西真奈美、濱田マリ、三津谷葉子、千田正穂、螢雪次朗
 
 
 
 
 
<以下ネタバレ>
 
 
 
 
 
●Tuesday(★★★) 堤幸彦監督推薦
ゼブラという演技素人に、二言三言しか喋らせないことで
演技での破綻を予防し、さらに最後のオチまで緊張感を持続させて
見続けさせるという効果を持たせた。一本目としては申し分ない。
薗田監督自身が脚本も担当しており、流石今回一番実績の
ある監督ではあった。

●HEAVEN SENT(★★★) 北村龍平監督推薦
乙葉というこれまた演技下手を、悪魔という特殊設定にすることで、
演技的破綻を予防。あとは殺し屋エンケンがどうにかしてくれるので、
問題はない。キザな話で、演出手法、ロケーションなどは推薦者
北村龍平の影響を感じるけど、北村特有の寒さはないので、
こっちの方がむしろいいかも。ストーリーはやや綺麗すぎるけど、
それなりにまとまっていた。

●ブラウス(★★☆) 望月六郎監督推薦
フェチシズムですなあ。流石望月監督推薦というところか。
望月監督は1の「Pandora」の監督。あの足フェチ作品ね。
1ではずば抜けて浮いていた作品だったけど、今回はやや控えめ。
フェチよりは大杉漣と小雪の演技合戦がメインの内容だった。
ただ、ストーリーにひねりが足らず、時間経過のさせ方が
ショートフィルムとはいえおざなり。こんな話は世にも奇妙な
物語で十分であるという気もする。

●NEW HORIZON(★★★) 行定勲監督推薦
行定監督の「JUSTICE」同様、綾瀬はるかがヒロイン。
1ではブルマをはいてブイブイいわせていた(死語)綾瀬はるかが
今度は微妙に落ち着いた役か?と思いきや、やっぱりバカ話。
綾瀬はるかの正しい使用方法はやはりエロだった。正解、大正解。
最後の終わり方は、バカ話だったのにファンタジー色でまとまって
いるので、見終わった時の感触はバカだったなあという感じではない。
まあ、とにかく綾瀬はるかはエロい。エロすぎる。

●すべり台(★★★★) 篠原哲雄監督推薦
高2の石原さとみが小6を演じる衝撃の内容だったが、
これがさほど違和感がない。元からロリ顔だしな・・・
オチのキレは今回最高の出来。すし→ガンダム→まさよしと
三段構えで望まれては降参せざるを得ない。
山崎まさよしはやはり良いモノを持ってる。また映画に出て欲しい。

●α(★★) 岩井俊二監督推薦
この辺から妙な失速感を感じるのは内山理名のせいだと信じて疑わない。
スネオヘアーも演技素人でうまくはなかったけど、内山もさしてうまくないので、
バランスは取れていた。ただストーリーが実に凡庸で今回一番世にも奇妙な
物語でやってればいいじゃんレベルのネタ。しかもネタバラシの仕方が
弱すぎてどうにもならん。今回もっとも駄目だった一本。

●スーツ -suit-(★★☆) 飯田譲治監督推薦
予告のなめたCG画像からやばい作品なんだろうと期待してなかった分
意外と良かった。藤木が右往左往する姿がなかなか滑稽。
藤木はパンツ一丁のシーンあり、小西真奈美なぞ終始バスタオル一枚
なので、ファン的には目の保養になることは間違いない。
ただ、シリーズ最終作の作品がこれ?という疑問は残った。

| | Comments (1036) | TrackBack (3)

Saturday, December 04, 2004

『油断大敵』(DVD)★★★

『油断大敵』(DVD)★★★

油断大敵

「泣いて笑って元気になれる、人生応援映画」
これ、公開時のキャッチなんだけど、ありきたりでしょ。
でもこういう風にしかキャッチつけられないような内容。
タイトルも中途半端で、視聴欲をかき立てる要素が少ないし、
これは宣伝するのに凄く困る映画だ。

ただ悪い映画かと言われるとそうでもない。
そもそも役所広司、柄本明のコンビなわけで、これで悪い映画を作る方が難しい。
ただ、その素材を生かし切っているかと言われれば疑問。
退屈といわれれば、人によっては本当に退屈な映画だしね。

コメディというほどコメディでもないし、人間ドラマだと言われるほど
人間ドラマでもない。泣けます!とか宣伝されてるような映画ぐらい、
これでもかこれでもかという心情的攻撃性を映画に要求してる人には、
決してオススメいたしません。
 
監督/成島出
脚本/小松與志子、真辺克彦
原作/飯塚訓「捕まえるヤツ 逃げるヤツ」
撮影/長沼六男
出演/役所広司、柄本明、夏川結衣、菅野莉央、前田綾花、水橋研二、津川雅彦、奥田瑛二、淡路恵子 
 
 
 
 
 
 
<以下ネタバレ気味>
 
 
 
 
 


気になるのはストーリーの中途半端さ。
刑事とドロボウ+父と娘の二本立てになっているわけだが、
それを繋いでいるのが刑事=父という要素だけであって、
関連性が薄いこと、さらに娘と柄本がキャラ立ちしすぎちゃって、
役所の心情があまり印象に残らない。
娘の描写のウエイトを増やした時点で、役所の心情こそが
この映画の肝となるべき部分であったはず。流石にぬか床をかき回す
役所の背中には泣かせるものがあったが、
その他の部分では今ひとつ描写が足りなかったのではないかと思う。

結局脚本的なバランスが取りきれなかったってところかな。
役所と柄本のエピソードも、役所と娘のエピソードも、ひとつひとつは良いモノが
多かった。柄本が役所にドロボウ刑事やるなら真剣にやれと諭すところとか、
娘がハンストするところとか良かったし。
キャストも題材も良かっただけに、もったいない感じのする映画だった。
役所の心情にもう少しスポットをあてるか、
原作のタイトル通り「捕まえるヤツ 逃げるヤツ」という感じで、
柄本&役所により比重を置き、全体的にテンポアップするなどの
工夫があれば、良作レベルには軽く手が届いていたはず。

役所、柄本以外のキャストでは、最後まで見ると実は大して重要でない
役どころなのに体を張ってる夏川結衣と、娘の小学生時代を演じた
菅野莉央が良かった。菅野莉央は映画セカチューの柴咲の子供時代を
演じていた子。ドラマ14ヶ月でもいい感じだったし、最近子役は大豊作ですな。

| | Comments (77) | TrackBack (0)

Friday, December 03, 2004

『わたしのグランパ』(DVD)★★★

記念すべき100エントリー目らしい。
ホントは昨日エントリーしようと思っていたのに。全くダメダメだ。

『わたしのグランパ』★★★

わたしのグランパ

いわずと知れた第27回ホリプロスカウトキャラバングランプリ石原さとみの
デビュー映画。映画出演は石神国子時代に何度かあるが、
大きな役ではないのでこれが実質デビューだといって差し支えないだろう。
菅原文太とのダブル主演なのでアイドル映画全開ということもなく、
つまらないアイドル映画とは一線を画している。石原さとみの演技も悪くない。
菅原文太は最高のハマリ役。脇もうまい人がそろっていてキャスティングは抜群。

映画の出来としては、後半の脚本にうまくない部分があるし、
映画全体の主題がまとまりきっていない感じも多分にあるが、
雰囲気は良くできている。ファンタジー、メルヘン風味のまったり
した作風が好きな人にはオススメできる。もう一歩脚本が
練り込めていれば、万人向けの良作になっていただろう。
でも東監督はあんなシーン(石原さとみのアレ)をいれちゃう人だから、
それはちょっと難しいか・・・アレいれちゃうんだもんなぁ。
アレはいくらなんでも常人には理解し難い。

来年は石原さとみが真にブレイクをする年になるだろう。
原石が最初どんな光を放っていたのかを見られるという意味で、
貴重な映画だと思う。

監督/東陽一
脚本/東陽一
原作/筒井康隆「わたしのグランパ」
撮影/小林達比古
出演/菅原文太、石原さとみ、平田満、宮崎美子、伊武雅刀、嶋田久作、光石研、島健、中原丈雄、浅野忠信、波乃久里子
 
 
 
 
 

<以下ちょっとだけネタバレ>
 
 
 
 


この映画の主題って何なのだろうか?

東監督は”現代のおとぎ話”だと言っていた。
そういう風に曖昧な表現をされると、散見しているように見える内容の数々が
実はひとつのもののように見えてくる気もしないではない。
グランパの存在も、グランパの与える影響も、石原さとみが宙に浮くのも、
やくざ達がコメディに転換されてしまうのも全て片づけられそうな気もする。

だが、グランパが死にたがっていたというところだけは、おとぎ話で
済まされるとは僕には思えなかった。全てをやり終えて達成感が
そう思わせたのか、はたまた牢獄の中を掃除するのに疲れてしまったのか・・・
手を振っていたという話しや、あの石原さとみの台詞をいれたことで、
この映画の裏主題はここにあったと思うだけに、もう少ししっかりとした
描写が欲しかった。雰囲気だけで突き進んで、おとぎ話を貫徹するつもり
だったのならば、この部分はカットしてしまっても良かったぐらいだ。
(石原さとみが駆けつけるシーンから葬式シーンは脚本が乱雑。
石原さとみが来たときにまわりがかける声もおかしいし、
浅野が事故の事を語る流れも不自然。投げっぱなし感がある。)

とはいえおとぎ話として割り切って見れば、この作品の完成度はなかなか。
エピソードの繋ぎ方は決して良くはないが、ひとつひとつは良いモノが多い。
キャスティングも菅原文太をキャスティング出来た時点で勝ちみたいなもの。
脇も平田満などハイレベルなところで構成されているし、石原さとみも抜群に
魅力的だ。ロケーションも足利らしいが、かなり良い。
日本の地方都市は今が撮り時。石原さとみが牛乳を飲んでいた
五代家の屋根なんかよくぞ探したという感じさえする。

そんなわけで納得はしてないんだけど、悪くはなかったので★3つ。
後半のやくざの描写、謎の空中浮遊、葬式周辺のグダグダ感が払拭できれば、
かなり高評価の作品になっていたと思うだけにもったいない感じはする。

| | Comments (81) | TrackBack (0)

Sunday, November 28, 2004

『ロボコン』(DVD)★★★

半年前に見て、忙しくて書けなかった映画の感想をぽろぽろと手始めに書くことに。
まずは今日(日曜)に今年の全国大会が行われる「ロボコン」の感想を。
ちなみに今年は地上波生放送ありで、教育で日曜午後4時から。
今年も面白い戦いが繰り広げられるはず。楽しみ。

『ロボコン』★★★

ロボコン

アイドル映画としてみれば、長澤まさみの魅力は十二分に伝わってくるので
かなりの高得点。
青春映画としてみれば、長澤まさみ主演かと思いきや、実は小栗旬が主演の
ような脚本なので、ちょっと肩すかしを食う。そんでもって内容も青春映画の
基本を守ってないので、賛否両論だろう。理系的青春のノリを表すための装置だと
判断するのか、単に青春映画として間違っていると解釈するかは見る人次第。
ロボコン映画としては限りなく満点に近い出来。ロボコンという題材の素晴らしさが、
マニアックにならずしっかりと詰め込まれている。
映画としての出来は、演出手法も古くさく、脚本もケチのつけどころは満載なので、
そうした部分にひっかかってしまう人には耐え難い部分もあるかもしれない。

総合すると、なんだかいいんだけど、なんだかアンバランスな映画。
でもその危うさ加減が青春っぽくてなんだか悪くはない。
青春映画バカの僕としては、変わり種青春映画としてストックしておきたい一本。

監督/古厩智之
脚本/古厩智之
撮影/清久素延
出演/長澤まさみ、小栗旬、伊藤淳史、塚本高史、鈴木一真、須藤理彩、うじきつよし、吉田日出子、荒川良々、平泉成
 
 
 
 
 

<以下ネタバレ>
 
 
 
 

見終わったときに残る違和感。
とにかくこの映画はアンバランスなのだ。

この映画は
1.長澤まさみの魅力を引き出すアイドル映画
2.小栗旬らを主役とした理系青春映画
3.ロボコンの魅力のアピール映画
という3つの軸から成り立っている。

まず問題なのは2で、トップクレジットは長澤まさみであり、
観る人も長澤まさみの主演映画と思ってみるのに、
青春映画として見たら、主役は間違いなく小栗旬になってしまっていること。

長澤まさみはファーストシーンでこれでもかとやる気の無さを見せるが、
その後持ち前の負けん気と、青春っぽさに憧れてるという動機を軸にして、
奮闘をみせる。だがその変化には、大きな葛藤もないし大きな成長も見受けられない。
何か大きな転機があるだとか、スポコン的努力によって壁を乗り越えたりもしない。
最初から長澤まさみは自分の感情に正直なところがあるし、
ほとんど練習なしで、ロボットの操縦もなんなくこなしてしまっている。
敢えていうならただ何かを忘れていただけで、最終的に思い出したにすぎない。
それなのに描き方はまるで成長したかのような形を取っているため、タチが悪い。

一方で小栗旬の方は、青春映画らしい成長を遂げ、別人へと変化する。
相手の事を考えることもなく、ひたすら設計図をひき続けるだけだった青年は、
最後にはにこやかに笑顔を浮かべ、長澤まさみを歓迎するだけの
人間性を持つのである。

この二人の関係を描く決定的場面がある。
それは合宿へ向かう荷台の上でのシーン。
長澤まさみは青春っぽい合宿という行為に浮かれながら、
「夢先案内人」を1フレーズ軽やかに歌う。(ちなみに歌詞が間違ってる※注1)
アイドルらしさ全開、ノーテンキ。
小栗旬はその横で長澤に性格直せよと言われ、
「それがわかんねぇんだよ」とついに悩みを吐き出し始める。
なんともベタな描き方だが、つまり長澤まさみは小栗旬の”夢先案内人”
であって、青春映画の主役ではないことがここでハッキリする。

これだけなら大してアンバランスでないような気もするのだが、
この映画の最優先事項は”長澤まさみのアイドル映画”であるため、
ありとあらゆるものが常に長澤まさみ中心で展開していく。
そのため遠く離れた二番手に過ぎない小栗旬がいくら青春しても、
主役長澤の心情描写の浅さは印象に強く残り、青春映画としての
アンバランスさが生まれてしまう。
小栗旬は長澤まさみに殴られて眼鏡を壊されてしまい、コンタクトに変わる
という女性ヒロインキャラの特権的エピソードなどをせっかくいれたのだから、
あのあたりから小栗旬の方にもう少し比重を置いていれば、バランスが
取れていたような気がする。あとは青春映画といえば恋愛ということで、
二人の関係をもう少し深く描いてしまえば、しっくりきたはずだった。
しかし、これがインドア派、はたまた理系オタの特徴とでも言いたいのか、
なんともぬるい関係のまま映画は終わってしまう。

そもそも女子が稀少な高専が舞台なのだから、長澤まさみなんていたら垂涎の的
になって当然でしょ。あれだけロボコンシーンに尺割いたら入れられなかったんだろう
と好意的に解釈したいんだけど、よく考えると必要ないシーンも結構あったし、
この辺はせっかくのネタを放置してしまってるようで、納得いかない。
荒川良々あたりを長澤の熱狂的ファンに仕立て上げたりしても良かったろうに。
長澤を魅力的に撮るのが最優先事項なんだしさ。
激しく個人的趣向で脱線してきたところで、自主規制(^^;

この映画をアンバランスなものにしている二つ目の要素は
上記の3.ロボコンの魅力のアピール映画。
2時間の映画でロボコンの試合のシーンがだいたい40分近くある。
試合のシーンも全試合ほぼノーカットで収録しているし、時間以上に
たっぷり割いている印象を受ける。
演出手法も引きのカメラを多用し、かなりリアルさを重視している。
選手の表情をアップで抜くなどという映画的な技を多用せず、
選手よりロボコン優先の演出をしている。
試合展開も実にロボコンらしさが良く出ているし、出てくるロボットの
多用さもロボコンの魅力を余すことなく伝えている。
ロボコンのシーンの出来はかなり良い。
しかし、この出来の良さによってまたアンバランスさが生じる。
一番の要因はこの映画が全然スポコン的ではないからである。
血のにじむような努力によって壁を乗り越えて優勝したという
感じが全然しないのである。
そして何度も言うようだが、この映画の最優先事項は
”長澤まさみのアイドル映画”である。終盤に来て
「長澤まさみよりロボットが大事なの」とか言われても
困っちゃうわけである。

とまあ常に何処かアンバランスで抜けた感じが最初から最後まで続く。
演出手法の古くささ、伊藤”チビノリダー”淳史と荒川良々
という特異なキャラを持つ役者もこれに拍車をかける。
文句を書き続けてきたように見えるかもしれないが、僕はこの空気感が
結局好きなのだ。だから、このアンバランスさを理系でインドアでオタ
のちょっと変わった青春映画を描く為の意図的な手法であると勝手に納得した。
無理矢理だってわかってるけど納得した。

無理矢理感を排除して考えるなら、ロボコンという題材から
マニアックさを排除して、伝えきったという意味では評価できるが、
エピソードの繋ぎ方も質も今ひとつだし、演出はこそばゆいしと
まあB級映画だと思う。僕も客観的に考えるとそう思うから、
この映画は★3つをつけるのが限界。

・注1
×波もたてずに進んでゆきます→○波もたてずに滑ってゆきます
歌詞を思いっきり間違えている。現場もわかっていたがそのままOKに。
長澤まさみの十八番が山口百恵だからこの選曲らしいので、
ベタに長澤まさみが夢先案内人だという意味で歌わせたわけでも
ないかも。ちなみに「夢先案内人」は宇崎阿木時代初期の傑作。
山口百恵のベスト系ならほぼ収録されているはず。必聴。

・追記
長澤まさみの声はやっぱりヒロスエに似てた。
セカチューほどではなかったけどね。

| | Comments (149) | TrackBack (1)

Friday, November 05, 2004

『笑の大学』(映画館)★★★

『笑の大学』★★★

warai.jpg

一見映画向きではない題材だし、あまり劇場で観るメリットが
感じられない作品だが、実は大勢の客の中で観るべき作品。
まわりの客の笑い声を感じられる空気でこそ、この作品は活きる。
三谷好きならオススメ。三谷にあまり興味がない人にも、三谷作品の
中では万人受けしそうな出来なので、悪くはない。

監督/星護
脚本/三谷幸喜
原作/三谷幸喜
撮影/高瀬比呂史
出演/役所広司、稲垣吾郎
 
 
 
 
 
<以下なんとなくネタバレ>
 
 
 
 
 
公開日に観に行った友人がいて、僕は彼に
「これはレンタルで済ますべき小品の典型だろう」と言った。
洋画と比べ邦画は劇場の画面や音響をあまり必要としない
作品が多い。ましてやこの作品は星護というドラマ畑の
監督によって演出され、しかもひとつの部屋で登場人物二人
だけでほとんど進行するわけで、劇場で見る意味が
ほとんどない映画の極地にあると考えていた。

しかし実際に観て感じたのは、これこそ劇場で観るべき作品だということだった。
劇中に出てくる笑の大学の小屋で笑う観客達と一緒で、
まわりが笑っている環境で観てこそ、この映画は引き立つ。
これをもし一人でレンタルで観ていたら、僕はたぶんクスリとも
笑わなかったんじゃないかと思うし、自分とまわりとの笑いのツボの
微妙な違いとかも楽しめなかった。

それくらい中盤ぐらいまではもうまわりがバンバン笑っていた。
三谷脚本が良くできてるし、演出も丁寧で好感が持てた。
さあこのまま最後までどかんどかん笑かしてくれるんだろか
と思っていたときに、赤紙が不意に登場する。
そしてここからは笑いではなく、感動方向へと話が走り出す。
舞台版とはちょっと違う最後とのことだけど、こういう展開にもっていくなら
もう少しそれなりの工夫が必要だろうと。

この作品はピークを警官ネタのところに持ってきてしまっている。
起承転結でいうと承のラストがここにあたる。
そのあと役所と稲垣の関係が悪化するところが転で、
赤紙が結となるのだが、そう考えるとあまりにも承の占めるウエイトが
重すぎることに気づく。だいたいどんな映画を見ても承の部分なんて
下手すると忘れてるぐらいの部分のはずなのに、そこがめちゃめちゃ
主張してしまっている。しかも転結の部分の描き方が時間的にも短いし、
脚本的にも切れ味がない。
だから最後の感動路線がなんだかとってつけたように感じられてしまう。
前半の完成度が高いだけに実におしい。

キャストは役所は抜群。作品の色を決定づけられる役者。
やっぱ役所広司好きなんだな。「油断大敵」と「ドッペルゲンガー」も
早く観よう。稲垣もキャラにあっていて、予想より頑張ってた。

全体的には、まあまあ。
舞台では出来ない表情の演技が盛り込めるメリットが映画には
あるし、これはこれで完成している。しかし、やはりこれは舞台の
空気でやった方が面白いんだろうなとは感じてしまった。
ただみんながみんな舞台を見に行けるわけではないし、
こうしたシチュエーションコメディー的なジャンルを、映像媒体で
広げていく足がかりとしては良い。

そうそう、カメオ出演の加藤あいは奇跡的に確認できました。
木梨憲武の方は確認できず・・・・
最近はカメオといっても存在感のあるカメオばっか観ていたので、
完全に油断してた。うーんDVDで確認だな。

| | Comments (89) | TrackBack (3)

Wednesday, November 03, 2004

『隠し剣 鬼の爪』(映画館)★★★

『隠し剣 鬼の爪』★★★

oninotume.jpg

ストーリーなど大枠はほとんど「たそがれ清兵衛」と一緒。
ただ「たそがれ清兵衛」と比べると、今ひとつ主題がはっきりしないし、
出来もほとんどの要素において「たそがれ」の方が上。
「たそがれ」を観てない人は「たそがれ」を先に観た方が良い。
「たそがれ」を観て気に入ってる人は、これはあまり観ない方がいいかもしれない。

オススメできる人は、「たそがれ」を映画の出来は良かったと思うけど、
いささか鼻について好きになれなかったという人と、
藤沢周平×山田洋次のシリーズモノであることを理解し、
これを寅さんがごときシリーズものであると受け入れる準備がある人。

監督/山田洋次
脚本/山田洋次、朝間義隆
原作/藤沢周平
撮影/長沼六男
出演/永瀬正敏、松たか子、吉岡秀隆、小澤征悦、高島礼子、光本幸子、田中邦衛、倍賞千恵子、田中泯、小林稔侍、緒形拳
 
 
 
 
 
<以下結構かなりのネタバレ、「たそがれ」も観た人向け>
 
 
 
 
 

やはり「たそがれ清兵衛」との比較になってしまう。
いくら意識的に藤沢周平原作シリーズものという位置づけで
作られているとはいえ、藩命で果たし合いにいかされるなどなど、
これだけストーリーの流れが同じで、舞台となる場所、時代まで
ほぼ一緒では比較するなという方が無理。

「たそがれ」を僕は公開当時それほど絶賛しなかったんだけど、
これを見て「たそがれ」は本当に良くできていたある種奇跡的な作品
だったのだなと痛感した。
「たそがれ」の持っていたあの圧倒的泥臭さと清らかさは、残念ながら
本作では味わうことはできない。
脚本は主題を見失い、キャストも決して悪くはないが、真田広之&宮沢りえ&田中泯
と比べるとどうしても見劣りしてしまう。殺陣もあの細かい描写で迫力満点だった
vs田中泯との戦いと比べるのも失礼なぐらい見劣りする。

まず感じたのが、「鬼の爪」の圧倒的な泥臭さ不足。
「たそがれ」も「鬼の爪」も主人公は実質30石取り程度の貧乏侍だが、
「たそがれ」のこれでもかという貧乏描写を考えると、永瀬は全然
まともな暮らしをしている。夜は書物を読み勉強、街で出会った元女中に
プレゼントを買ってあげるほどの余裕がある。
単に養うべき子供がいるかいないかという設定の差であるともいえるが、
この泥臭さの差は主人公の動機付け部分として、「鬼の爪」が最後まで
弱さを感じ、「たそがれ」ほどの魅力を放たない根元となっている。
もちろん他の要素でちゃんと動機付けが出来ていれば問題なかったんだが、
それも今ひとつ出来ていない。今回は最後に武士をやめるという大きな選択
を取るのだから、「たそがれ」以上に主人公の武士観を表現する方法で
補完すべきだったはずなのに、それも十分できていなかった。
西洋式訓練のシーンを多用するなどしていたので、あの部分で江戸時代
末期の表現をせっかくしているのだから、これを絡めて主人公の武士観が
もっと表現されていれば、良くなっていたはず。しかし実際には
西洋式訓練は高齢層に向けたコメディシーンに成り下がってしまっていた。

ヒロインの描き方も不満が残る。
序盤の床にふせって弱りながらも永瀬に掃除にいけなかったことを詫びる
シーンなどまでは良かったものの、最後まで女性側の主体的行動が
見られなかった。
途中でしっかりとした教育を受けていたという描写もあったので、
最後は自分の意志を出すのであろうと期待していたのだけど、
何とも腑に落ちない形で蝦夷行きを了承してしまう。
武士でなくなりステータスもなくなってしまった永瀬と、未開の最果ての地に
行こうってのに、明確な動機付けなく結ばれるのはどうにも納得が行かない。
既に婚姻が決まっていたにも関わらず、果たし合いから帰る主人公を待ち、
そのまま結婚するという主体的な行動を見せた「たそがれ」の宮沢りえとは
この部分で大きな差が出てしまった。

殺陣のシーンは「たそがれ」が完勝。
田中泯の持つ殺気に小澤Jrは全く届かない。
「鬼の爪」にも田中泯は剣の師匠として登場し、永瀬に小澤Jrとの戦い方を
伝授するシーンがあったが、その殺陣の方が果たし合いよりも印象に残っている。
一応小澤Jrにもつらい部分があった。脚本が「たそがれ」に比べ全体的にトーンダウン
している影響をもろにうけ、キャラ作りがしっかりしていなかったからだ。
「たそがれ」の田中泯は上司が権力争いに負けたとばっちりを受けて
切腹させられることになり、反旗を翻すという同情すべきものがあったりと
ちゃんと描かれているのだが、「鬼の爪」の小澤征悦は本当に謀反の
首謀者であり、門弟で一番強かったにも関わらず、隠し剣鬼の爪を
伝承してもらえなかったことからもわかるように、それほど好人物ではなく、
同情すべき点があまりない。
せめて同門の永瀬との関係に踏み込んだ描写があれば、最後の
果たし合いももう少し盛り上がったのだろうが、それすらなくそういった点からは
気の毒であった。最後は鉄砲玉でやられてしまい、死ぬとこでの見せ場もないしな・・・


と散々「たそがれ清兵衛」より面白くないと書いてきたわけだが、
あくまでも「たそがれ」より面白くないだけで、この作品はそんなに悪い作品ではない。
時代劇娯楽作としてみればそれなりの出来だし、キャストも良い人が揃っている。
そもそもこれはシリーズものなわけで、ターゲットとする層も明確で、
見に来る人もそれをわかって見に来ているのだろうから、
これはこれでいいのかもしれない。
むしろ「たそがれ清兵衛」が山田洋次っぽくない尖った作品で、
「隠し剣 鬼の爪」こそが山田洋次の真骨頂なのかもしれない。

追記:
田中泯、今度は『メゾン・ド・ヒミコ』(犬童一心監督、オダギリジョー・柴咲コウ)
で現代劇の方にも出るようなので、どんな演技をしてくれるのか今から楽しみ。

| | Comments (14) | TrackBack (0)

Tuesday, November 02, 2004

『いま、会いにゆきます』(映画館)★★★

1日ということで映画1000円デー。
封切りになったばかりの全国公開系邦画が珍しく3本もあったので、
全部観てきました。

movie_11_1.jpg

5月の「世界の中心で、愛をさけぶ」「死に花」「アップルシード」
に続き、今年2回目の1日3本鑑賞。
前回は映画館の間を走ったんですけど、今回はシネコンで固め打ち
したので、スタミナ的にはだいぶ楽でした。シネコンはいいものだ。

『いま、会いにゆきます』★★★

「セカチュー」と比べるとするならば、こっちが上。
それは上手く作ってあるという意味ではなく、「セカチュー」より
こっちの方が原作に魅力があるからではないかと思う。
ファンタジー恋愛モノとして芯がしっかりしている。
中身は竹内結子ファンの為の竹内結子映画。
それくらい竹内結子の独壇場。ゆっこオタは必見。

泣いている人はそこそこいたので、
泣くために映画を見に行くというスタンスの人はいいのでは。
僕は泣きはしなかったけど、少なくともセカチューよりはきた。
全体的にみてまあまあの作品。ただ脚本次第では、
大化け可能な題材だったと思う。

監督:土井裕泰
原作:市川拓司
脚本:岡田惠和
撮影:柴主高秀
キャスト:竹内結子、中村獅童、武井証、平岡祐太、大塚ちひろ、美山加恋、中村嘉葎雄、市川実日子、YOU、松尾スズキ、小日向文世
 
 
 
 
 
<ネタバレ多分にあり>
 
 
 
 
 

いっつもオープニングのドルビーロゴの時、目を閉じて耳を澄ませて
音が定位しているかチェックするんだけど、過去最高のポジションだった。
もっともこの映画でそれを活かせるシーンなど当然なかったんだけど。
一番五月蠅いのはエンディングのオレンジレンジだし。
かなり不評なようだけど、僕としては別にいいかなという感じだった。
というか絵本読みとるのに必死で聞いてなかった(笑)
もちろんベストな曲ではないし、全編に渡って泣かそう泣かそうとしてんだから、
どうせやるなら徹底的にやれよという感じもしないではない。

のっけから話がそれたけど、これは竹内結子ファンの為の映画。
日記発見後なんて竹内結子のシーンばっかり。
オチの部分はほとんど竹内結子のモノローグで構成されているし、
完全に独壇場。美味しいところを丸ごとかっさらっていった。
映画全体を観ても、これは竹内結子演ずる澪の生き様の話であり、
別に家族三人の物語にはなっていない。
中村獅童も子役武井証も役者としての仕事はしていたけど、
肝心の家族愛や、中村獅童から竹内結子への愛情を表現するシーンが
弱すぎて、ほとんど描けていなかった。

十分これらを表現するチャンスはあった。日記発見前の前半部分は
澪は記憶喪失なのだから、この二人の見せ場は十分作れたはず。
しかし何故か全く印象に残るエピソードが出てこない。
ただただ、だらだらと時間が流れていくだけになってしまっていた。
おかげで日記発見までのこの映画は、とてつもなく退屈なものに仕上がっているし、
映画全体としても前半と後半のバランスが取れていない。

というわけで岡田さんの脚本はかなりダメでした。
心情描写が全体的に薄く、状況が作られるだけで、
具体的なエピソードへの落とし込みが甘い。
良くなる後半部分なんてのは、原作の面白さにのっかるだけで良いわけで、
脚本の腕の見せ所は前半部分だったはず。
そこでほとんど仕事ができていないのは問題。
王道泣けるファンタジー恋愛映画としての骨組みは、オチを観る限りでは
きっちりしていただけに、ホントもったいないことをしてしまった。

演出はTBSの綺麗なドラマをとり続けてきた土井さんらしい綺麗な画。
ただ作り込みすぎていて、森の中のシーンとかはセットバリバリすぎて
白けてしまう人もいるかもしれない。いかんせんこの話し、出てくる場所
が少なすぎるので、金を使うところがあの辺しかなかったのかなと
邪推もしたくなる。

あとちょっと惜しむらくはなんでこの時期に公開なのかと。
梅雨に観たら評価ももう少し上だったかも。
「セカチュー」との兼ね合いなんだろうけどさ。

「セカチュー」が出てきたついでに比べると「いまあい」の方が上。
(ブログ始める前だけど「セカチュー」は★2.5)
といってもその差を生みだしているのは、
原作が「セカチュー」よりこっちの方が面白いから・・・・
だと思う。買ったんだけど、まだ読んでないんで。
鑑賞した感じでは、原作読まないでみて良かったと思った。
もしオチを知っていて観ていたら、岡田脚本のクソっぷりを
延々と書き続けていたかもしれない。

それにしても竹内結子またも死んでしまう役だった。
次の映画では生き残ってください。
せめて最初ぐらいは生きて登場してください・・・

| | Comments (1040) | TrackBack (1)

より以前の記事一覧