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Sunday, March 12, 2006

『ニライカナイからの手紙』★★★☆

本当にやるべきことなのかどうかは謎だが、どうもやるべきことらしいことが
増えてくると、それに刃向かってブログとか更新したくなる、
そんな今日この頃です。
そゆときは、勝手にプチイベントを開催したくなるのも世の常です。

そんなわけで勝手に蒼井優オールナイトを開催。

一本目は買ったまま見事に放置していたDVDの山から発掘した

『ニライカナイからの手紙』★★★☆

ニライカナイからの手紙

沖縄竹富島で暮らす風希(蒼井優)と母(南果歩)。
6歳のとき風希を残し、母は東京へと行ってしまう。
それ以来ずっとおじい(平良進)と二人で竹富島に住む風希の心の支えは
誕生日に届く母からの手紙だった・・・

監督:熊澤尚人
出演:蒼井優、平良進、南果歩、金井勇太、 かわい瞳、比嘉愛未、斎藤歩、前田吟


沖縄モノと呼ばれるジャンルはもはや韓流並に定着したんじゃないだろうか?
何故ここまで沖縄、正確には沖縄の離島モノが持てはやされるかというと、
それは決まって人里離れたところにいって殺人事件に出くわしてしまう
金田一少年と同じ原理で、そこには現代の一般人から観れば現実的じゃない
ことが成立してしまうからに他ならない。
沖縄モノが優れているのは、現実離れしてはいるが、それが実在するらしい
という漠然とした地続きの期待感を観るモノに残していけることだ。
最も実在したとしてもその恩恵を授かることは実際にはほぼないんだけど。
でもそういうことが今もどうやらあるらしいというのが救いになる。
この辺が同じような現実逃避でも「ALWAYS三丁目の夕日」のような
ノスタルジー系と決定的に違う。

この作品でも従来の沖縄モノのツボを確実に抑えた構成になっており、
主人公が決定的に凹むシーンで、沖縄のあり得ない優しさが主人公を救う。
あのシーンは沖縄でなければ成立しない。
演出的にも”陽光”という印象の画面が終始続く。主人公が凹むシーン以外
はほとんど夜のシーンはなく、温かい光が差し込むシーンがやたらと多い。
こうした暖かみをこれでもかと重視した演出は、この映画の目的に
沿ったもので好感が持てた。

沖縄モノでありながら、もう一つの舞台となっている東京でもそれなりの
癒しを提供しているあたりも徹底している。最初ぶっきらぼうだった
元アシスタントが、なんだかんだいって主人公をサポートしてくれたりするなど、
都会でもちゃんと優しさはあるんだよという救いも一応提示している。
この辺は都会はただ冷たいモノという単純な対比構造が多かった
沖縄モノの中では、珍しいタッチだったかもしれない。

キャストも今や日本映画の隠れた顔になりつつある蒼井優の存在感は
申し分なく、平良進とか沖縄の人たちの演技なのか演技じゃないのか
わからないあの素っぽさも、沖縄映画ならではの味を確実に出している。

ここまで書いてきたことプラス母の無償の愛までもがセットでついてくるわけで、
この映画は泣ける癒し系沖縄映画という役割を、あらゆる面から
果たそうとしてくれている映画になっている。これだけ徹底的にやられると
もはや降参するより他ない。

蒼井優は、初単独主演作としてなかなかの映画をひいてこれたようだ。

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