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Sunday, September 25, 2005

『FINAL FANTASY 7 ADVENT CHILDREN』(DVD)★★★

FF7AC

あの頃はもっと余裕で徹夜できたような気がする。
発売日から徹夜でやりこみ、まわりの連中と早解き勝負をしていた。
それだけのめり込ませる要素がこのゲームにはあった。

新ハードPSで技術的進化を遂げており、この時のエポックメイキングっぷりは
ゲーム業界としては過去最大のものであった。
そうした技術がもたらした視覚的な衝撃と共に、ヒロインのアレとか、主人公が
実はアレだとか荒削りながら、力のあるプロットを備えていた為、FF7は今でも
多くのプレイヤーの記憶に残っている。

要するにファンが多くて、設定がいろいろと広げやすいものであったりと、
確実に数字が計算できるコンテンツであるということ。そういうもんが死ぬほど
欲しい同業界的には、今飛びつかないで、いつ飛びつく?という題材なわけです。

これは別に批判じゃなくて、こっちも面白いのかどうかある程度計算できるもんに
投資したいし、素晴らしいものを検索、発掘するほどの余力もないわけで、
こういう企画には素直に乗って行っちゃうわけです。

そんなわけでターゲットはあくまでもFF7をやった人。
冒頭にも「かつて、この世界を愛し この世界の仲間達と共に過ごした人々へ、
再び集いしこのときを捧ぐ。」と出る。
とまあファンムービーなんだけど、このグラフィックの美しさは、FF7をやって
いない人でも、一見の価値はある。
あとあのFFMOVIEを観てしまった人は、フルCG描写の方向性を
再確認するうえで、観ておいた方がいいと思われる。

監督/野村哲也
脚本/野島一成
音楽/植松伸夫
出演/櫻井孝宏、伊藤歩、森久保祥太郎、坂本真綾、森川智之
 
 
 
 
 
<以下ネタバレ>
 
 
 
 
 

●160億円のアレが残した傷跡

FF、フルCG、映像作品とくれば、「FINAL FANTASY MOVIE」(以下アレ)
という記憶が掘り起こされ、その記憶は失笑と結びつくというのが、
今までのシナプス構造だったわけだが、その忌まわしき記憶とも
これにておさらばできそうだ。

もっともアレとFF7ACはCGの方向性が全く違う。
アレはCGで人間を表現し、ハリウッド映画を思いっきり意識しまくった
映画であった。CGさえありゃもう役者はいらないでしょという挑発的な作品で、
実際アメリカの俳優協会にも白い目で見られたとかいう話も当時は聞いた。
しかし、汗もかかない、表情も貧弱、どこからともなく漂う嘘くささで
満ちたアレは、そんな白い目で見る必要もなく、やっぱCGはCGだよなっ
という出来映えだったわけだ。

そして今回のFF7AC。こっちは思いっきりアニメの延長上にあるCG映画だった。
登場人物の肌の質感に徹底してこだわり、やたらシミだのシワだのに
力入れまくりだったアレと比べれば一目瞭然である。エアリスが坂本真綾って
のはちっとやり過ぎじゃねえ?と思うぐらいアニメの延長上にある。

とまあ概ね今回は好意的に捉えているが、やはり脚本は荒いし、単調だった。
ファンには通用する内容だが、一般的に観たら、アクションばっかだし、
そのパターンもバリエーションが少なく、終盤はやや飽きがくる。
それでも初週で40万枚ぐらい売れてるらしい。

こうなるとまた映像作品でヒットを狙いたくなるんだろうが、今のままでは難しい。
やはり脚本をもっと作り込まないと、すぐに飽きられてしまう。
今回の身の丈にあった意味のあるCGの使い方は、なかなか将来性を
感じさせただけに、もっと真剣に取り組んでもいいんじゃないだろうか。
自前でいろいろメディアミックスもできるのだからさ。
もっともFF7ACを観てファンが最も熱望するのは、FF7の美麗CGによる
リメイクだとは思うけど。僕もPS3でリメイクFF7ができるなら買いたいと本気で
思ったどころか、FF7をPSでもう一回やりたいぐらい思った。
ファンの要望には比較的応えてきている同社なだけに、たぶんリメイクする
だろうなと期待している。

ちなみに160億ってのはアレの制作費である。正確には164億だったかな。
「ここまでやるならもう実写でいいじゃん」「なぜガイア理論にこだわるの?」
「FFのタイトル関係ないじゃん」「もっとファンタジーっぽいのがいい」などと
散々な目にあったが、今となって考えるとあれは愛すべき失敗だったのかも
などと思ってしまう。そういえばガイア理論に関してはFF7もそうなんだよな。
相当好きなんだね、ガイア理論が。

ファイナルファンタジーVII アドベントチルドレン (通常版)
もう通常版しかないけど、通常版も初回限定も大して変わらないので。
ただADVENT PIECES:LIMITEDのみ収録のOVA
「LAST ORDER FINAL FANTASY VII」はちょっと観たかったかな・・・

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Monday, September 19, 2005

『容疑者 室井慎次』(映画館)★★☆

odoru_muroi

踊る大捜査線スピンオフ企画第2弾。
「真下」も「室井」もお台場を離れ、新しい舞台で勝負したし、
「真下」では脚本家を変え、「室井」では演出家を変えた。
「真下」は大作アクションで、VFXも多様。「室井」ではコメディをほぼ封印。
スピンオフ企画が単に脇役をフィーチャーするだけのものじゃないんだよ
という意識の強さは、どちらにも明確に現れてはいた。
現れてはいたが、どっちがよりスピンオフとして有効であったかと
問われれば、「真下」よりは「室井」の方があったように思う。
単に「室井」が「青島」とまるでポジションが違うキャラだってことからくる
作風の違いが原因とも言えるんだろうが、思い切った題材に
したこと、しようとしたことも一因だと思う。
この辺はプロデューサーの明確な目的が見えて面白かった。
こんなのも作れますという意味では、確かに今後に繋がる内容
だったんじゃないかと。

まあ、あんまり期待しないで観に行ったこともあり、結構楽しめた。
でも、なんとなく評価しづらいのは、このシリーズの特徴である
勢いで押し切ろうとするところが、やっぱ認めづらいなあと。
自分に甘く、他人には厳しいのでw

とはいえ、娯楽作としてのラインを守りつつ、それなりのエンタテインメントを
供給していることは評価すべきことで、今回もがっつり興収を稼ぎ出している。
今まで邦画に圧倒的にかけていたサービス精神と、宣伝戦略を抜け目なく行う
フジ&広告代理店には感心してます。
ようやく回り出した”邦画”という歯車をこれからも牽引していってもらわなきゃならんし、
金がなきゃできないことはやっぱりあるからね。
その素晴らしい例が本作にもあったしね。(後述)
次は何で仕掛けてくるのか?
それは映画ファンとしての関心ではないのかもしれないけど、
そういう楽しみ方もありでしょ?

監督/君塚良一(MAKOTO)
脚本/君塚良一(恋人はスナイパー)
撮影/林淳一郎、さのてつろう
音楽/松本晃彦
出演/ 柳葉敏郎、田中麗奈、哀川翔、八嶋智人、吹越満、柄本明、佐野史郎、北村総一朗、小野武彦、斉藤暁、津嘉山正種、大和田伸也、大杉漣、小木茂光、升毅、木内晶子、モロ師岡、高橋昌也、真矢みき、筧利夫

 
 
 
 
 
<以下ネタバレ>
 
 
 
 
 
●”映画”であるという主張

「踊る~」の過去のシリーズはそのスケール感、大袈裟さで、映画であることを
主張し、「これならTVの2時間スペシャルで十分だよね」を封殺しようと試みてきた。
しかし、今回は流石にピンチだった。あまりにも地味な話であったし、
差別化を図る為には、あくまで地味でなくてはならなかったのだから。
アクションシーンでスケール感を出すだとか、コメディテイストで誤魔化すことも不可。
そんな中で映画っぽさを主張しようと頑張った結果が、映画らしいセットと、TVでは
あり得ない暗さとか映画っぽいものをたっぷり盛り込むことだったのである。

暗い、とにかく暗い。
そんな暗い場所で謝罪会見するわけねぇだろ。
他にも新宿北署だの法律事務所だののやたら凝ったセットの作り方。
従来の踊るシリーズがお台場を中心とした先鋭的な建物
を積極的に使ってきたことを考えると、これまた大きな方針転換だ。

もっとも驚かされるのが新宿での逃亡群衆シーン。ドラマでは絶対にありえない
そのロケーションの気合いっぷりに、「ああこれ映画なんだあ」って思わせる。
まさに序盤の掴みの瞬間である。
しかし、これがなんとオールセットだっていうんだから金の力は凄い。
上で書いた金がないと出来ないことって奴がまさにこれだ。

これらの演出の違いは、スピンオフだからという理由で、単に君塚監督に
代わったってこともあるかもしれないが、この脚本で本広演出でやったら、
とてもお寒い結果になっていたんではないかと僕は思う。
監督にはやはり得意なジャンルと不得意なジャンルは存在するから。

●やや映画っぽい脚本?でもやっぱり大味

君塚脚本はどーも詰めが甘い。せっかく面白い線ついていて、ワンシーンワンシーン
で観ると結構おもしろいところもあるのだけど、それがうまく繋がっていく感覚が乏しい。
これをいつもは勢いで押し切ってしまうのが、「踊る~」の特徴とも言えると思うが、
今回はメリハリを意識的につけないとすぐ平坦になってしまう題材だっただけに
そのノリにくさがいつもより露呈してしまったように思う。
題材的に微妙な感情の動きで勝負してほしかったんだけど、その域には
残念ながら達してはいなかったように思う。この辺は普段の踊るでは、
盛り込みたくても盛り込めない要素だっただけに、もっと作り込んでほしかった。

あとは今更映画単体でわかる作品にしろなどとは言わないが、大杉漣の公安部長
とか相当「踊る~」シリーズをしっかり観てないとわからないもんがキーとして出てくる。
そういう反則技を使って説明をカットしているわりには、室井の話、権力争いの話、
事件の話とかがうまくリンクして消化されているわけでもないのも、惜しい。

●映画っぽいキャスト、

柄本明、田中麗奈は映画的なキャストだ。柄本明はたまにドラマには出てるけど、
田中麗奈は完全な映画専門女優だしね。

あとは別に映画っぽいキャストではないけど、八嶋智人は重要な役割を果たした。
「踊る~」っぽいファンタジーキャラで、これはやっぱり「踊る~」なんだぜってことを
強く主張していた。ストーリー的にもあれくらい八嶋が無茶苦茶やらないと、
この話しはだれるので、重要なキャラであった。

●やっぱり「踊る~」は終わらない・・・・・んだろうな

シリーズの幅を広げたという意味では凄く良かったのではないかと。
今回も従来路線の作風であったなら、そろそろこのテンションにも飽きたよね~
という意味でこれで打ち止めでいいじゃんと思っていたに違いないが、
これならもう少し続けてもいいかなあなんて。
この地味な題材で、スリーアミーゴーズ邪魔!と思えるぐらい頑張っていたし。
「踊る~」が邦画界に与えた影響は大きいし、これからもその力は
必要なのではないかと思う。

●「踊る~」がまだ破っていないルール

犯人役は決してキャラ立ちしてはいけない。
だから「踊る~」の犯人やら事件の真相はだいたいちっちゃい。
スーパーな犯罪者は出てこないのである。
これこそが「踊る~」が「踊る~」であり続ける為の最大のルールかもしれない。

「真下」なんてそのルールを破る絶好の機会であった。
交渉人を扱ったクライムものなんて、もっとも犯人がキャラ立ちする題材なのだから。
それでも実際にはその「真下」も、犯人を一切描かないことで、うやむやにしてしまった。

あくまで内輪でわいわいやっていく。これこそが「踊る~」というわけである。
しかし、いったいこのルールを破るとどんなことが起きるんだろうね。
織田ちゃんvsなんか凄い犯人。なんだか既視感があるつまんねー作品に
仕上がりそうなので、やっぱなしか。
やるなら引き続きスピンオフでやるしかなさそうだ。
室井が広島でそいつと戦って手柄を立てて再び上へとかでもいいんじゃないのかな。
なんて思わせるのが、このシリーズが支持される理由なんだろなあ。

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