« July 2005 | Main | September 2005 »

Sunday, August 21, 2005

『リンダ リンダ リンダ』(映画館)★★★☆

執筆中とか言いつつ、実態はもはや返済不能となった負債であり、
そんなものは余裕で踏み倒して、どんどん新しい映画を見続ける。
当然のように負債はさらに増えていくわけ。
昨今は半年でDVDになるんだし、その頃になったらサラッと書こうかなとは思う。
ビバ、後入れ先出し法で早速いってみようかい。やはりオススメしたい映画から
感想を書くとしよう。となると一発目は「リンダリンダリンダ」しかないな。


lindalindalinda


この映画、「スウィングガールズ」的なものなんだろうなあ~なんて思って
観に行くと、痛い目にあうかもしれない。同じ音楽映画だし、青春映画だし、
ライトなタッチだし・・・と要素要素は同じような枠組になるのだけど、
重点を置いている点、目的が違う。

「スウィングガールズ」は青春よりは音楽を中心として、爽快さを追求した
作品であった。JAZZという変わり種ジャンルをチョイスしている点、ラストに
向けて爽快感を重視して、起承転結を無理矢理なまでに構築している点などは、
まさに娯楽作としての目的を果たすべく作り上げられている。

一方「リンダリンダリンダ」は青春映画としての雰囲気に重点を置いた
作品である。高校生特有の青春要素満載で、徹夜でやってのける勢い、
取り留めもない時間を過ごすだるさ、地べたにあぐらで座り込む無防備さ、
他人のことを考えないちょっと残酷な無邪気さとか、そういったもんを
まとめてぎゅっと凝縮してある。
ブルーハーツがあまりにパワーがあるので、音楽映画としての要素も
結構あるのだけど、監督の演出意図としては、そこに重点が置かれていないことは
最後まで観ればわかる。
さらに娯楽作として完成させることも目的ではないため、文化祭の4日間を
ドキュメンタリーに近い形で、単に切り出しただけのような作りに
なっているようにも感じる。そんなわけで「スウィングガールズ」のような
明快な娯楽作品を望んで見に行ってしまうと、肩すかしを食うかもしれないと。
とはいえ過去の山下監督の作品と比べれば、かなり頑張って一般受けするラインに
到達しようという姿勢は見受けられた。

そんなわけで「リンダリンダリンダ」は青春映画なんだけど、
娯楽映画を意識した盛り上げはない。その割りにはライトな作りで、
登場人物の心情を掘り下げて、感情面から盛り上げていこうという意識もない。
だから、見終わった時なんかものたりねーな感があるのも事実。
でも、山下監督の特徴である長回しと台詞回しから生まれる自然体、
そこにエピソードを落とし込む観察力の鋭さによって、そういうことあるよね、
いや自分にはなかったかな的なスレスレのラインを飛行して楽しむことはできる。
あとからじわじわっときて、なんだかもう一回観てみたいなあと思う。
それが「リンダリンダリンダ」っていう映画なんではないかな。
たぶん誰もが1,2シーンはにんまりしてしまうシーンがあると思うよ。


監督/山下敦弘(くりいむレモン、リアリズムの宿、ばかのハコ船、どんてん生活)
脚本/向井康介、宮下和雅子、山下敦弘
撮影/池内義浩
音楽/ジェームズ・イハ
出演/ペ・ドゥナ、前田亜季、香椎由宇、関根史織、三村恭代、湯川潮音、山崎優子、甲本雅裕、松山ケンイチ、小林且弥、小出恵介、三浦哲郁、三浦誠己、りりィ、藤井かほり、浜上竜也、山本浩司、山本剛史、近藤公園、ピエール瀧
 
 
 
 
 
<以下付け足しのネタバレ雑感>
 
 
 
 
 
 
●「女子高生がブルーハーツ。 ボーカルは韓国からの留学生!?」

この宣伝文句はこの映画の本質をついているとはとても言えない。
じゃあ本質を突くようなキャッチが作れるのか?っていうとそれも違う。
青春映画の醍醐味ってのはその雰囲気にあるわけで、それは言葉で
表現できないこともないけど、言葉にすると凄く陳腐で、こっぱずかしい。
つまるところ青春映画の効用ってのは、こっぱずかしさを味わえることに
あるんだと思ってる。
山下監督は観察力のある監督なので、そうした雰囲気を構築するための、
ありそうありそうというシーンを作るのが実に上手い。
青春映画こそが山下監督の領域なんではないかなと僕は思っている。

過去作とは今回まるでイメージが違う作品であるなんて言われているけども、
「リアリズムの宿」だって、青春映画の一種であることに違いはないと思うし、
映像の手法、ネタのはさみ方などなど作風が大きく変わっている印象は全く受けない。
やはり今回も同じ手法で撮っている。大きく変わったことがあるとすれば、
それは女子たちが主役だってことだろう。

今回、感情面の掘り下げが足りないような気がするのは、女子たちが主人公
だったからじゃないかと勘ぐってみた。
監督は駄目人間(男)の描写はかなり上手い。たぶん監督自身が相当駄目人間
なんだろうなあと勝手に仲間意識さえ抱いているw
この映画でも山下監督は男を基本的に阿呆として描いている。
一方で女子たちは、男性的な視点で美化されているように思った。
都合の良い解釈がないと、映画として成立しなくなるので、そういうご都合主義は
僕としては大歓迎である。

●とりあえずペ・ドゥナいいね

どことなく感じられる野暮ったさ、天然っぽく魅せる技術、日本語がネイティブで
ないことなどなど、様々な点がこの作品に貢献してる。
パンフレットには脚本の決定稿が載っているのだが、そこから随分ペ・ドゥナの
キャラを活かして脚本が書き換えられていることがわかる。
校舎に忍び込むパンツ見えてるよ~のシーンや、体育館にいくまでの屋台を
すり抜けていくシーンなどがそれにあたる。
ペ・ドゥナを起用した経緯は時流やら、監督の思いつきやらのものなのだろうけど、
結果的に作品にアクセントを加えられたことは大きい。ペ・ドゥナがいなければ、
もっとのっぺりとした作品になっていただろう。
ペ・ドゥナ主演の「ほえる犬は噛まない」が良いらしいので、今度是非観てみたい。

●本職の方々、関根史織&湯川潮音&山崎優子

まず関根史織が良かった。「こういう時のことって忘れないからね」と
「ニンニク一個」のシーンはかなり好き。これに関しては関根史織の演じた望の
キャラが、僕好みだったってことも大いにあるんだろうし、ああいうボソボソキャラ
を演出するのが山下監督が上手いってのもあるだろう。でも、あのキャラの
雰囲気を出せるルックスってことでナイスキャスティングであったと思う。
ベースなんてやってる奴はああでなくてはならん。
(一方でどうやっても華がある香椎由宇の演出には苦労しているように見えた。
その結果があの異常なまでの夢シーンとさえ思えてくる)
湯川潮音と山崎優子はこういう人がいるからこういう役を作ったのか、こういう役
があるからこういう人を探したのか、どっちかわからないような作りで、最後の繋ぎ
のステージやら漫画喫茶やらで、作品にアクセントを加えてくれた。
湯川潮音は東京少女少年合唱団のソプラノ出身で、山崎優子は
池袋のジャニス・ジョップリンと称されてるらしい。

●せっかくなので前田亜季&香椎由宇

前田亜季はやっぱかわいいね。いや、それだけですwスマン
自宅でのドラム練習眼鏡シーンに悶絶した人多数らしい・・・
いつものようにだんだんとどーでもいい内容になっていきます。
香椎はどさくさに紛れて前項で書いたので省略・・・
「ローレライ」よりは良かったんじゃね。
サントラCD収録の「リンダリンダ」のコーラスが香椎なの?ってぐらい声が
キュートなので、萌える人が多数らしいwスマン

確かに結構良かったりするサントラ↓
映画「リンダ リンダ リンダ」オリジナル・サウンドトラック

結局最後は萌えの話なんだね。マッタクモウ。

| | Comments (32) | TrackBack (4)

« July 2005 | Main | September 2005 »